調査シリーズ No.89
平成21年度 日本人の就業実態に関する総合調査
第1分冊 本編/第2分冊 就業者データ編
概要
研究の目的と方法
- 経済の低成長化とグローバル化、産業構造の変化、企業のリストラクチャリングの進展などを背景として、日本人の就業実態は大きく変化していると考えられ、こうした変化を継続的にフォローする基礎的なデータの整備が求められている。
- 本調査は、そのような問題関心のもと、日本人の働き方の実情を体系的、継続的に把握することを目的とした定点観測調査として、2010年2月~3月に実施されたものである。
- 調査対象は全国の満20歳以上65歳以下の男女8000人(層化二段系統抽出法により抽出)であり、5092人から回答を得た(有効回答率63.7%)。
主な事実発見
- 就業者が生きがいと考えているものは、第1位が「余暇、趣味」、第2位が「家庭」であり、「仕事」は第3位となっている。
- 就業者のうち、「仕事」を生きがいと考える傾向にあるのは、会社の経営者、自営業主などである。また、年収が高い者ほどその傾向が強い。雇用者のなかでは、役職が高い者ほど「仕事」を生きがいと考える傾向がある。
- 就業者に働いている理由をたずねると、正規雇用者、派遣社員、契約社員では「生計を維持するため」、パート、アルバイトでは「生計費の足しにするため」との回答が多い。
- 就業者に、ふだんの仕事で「身体の疲れ」、「仕事上の不安や悩み、ストレス」、「けがをする危険」、「病気になる危険」をどの程度感じるかをたずねたところ、実労働時間が長いほど、それらを強く感じる傾向がみられた(図表参照)。
- 労働組合に入っていない雇用者のうち19.9%が、労働組合に加入したいと希望している。また、その理由をたずねると、正規雇用者では「賃金が維持・改善されるから」、非正規雇用者では「雇用が安定するから」との回答が多い。
- 家事・育児と仕事の優先度に関しては、「男性は仕事優先」、「女性は家事・育児優先」という考え方が強い。また、そのような考え方は、有配偶女性において特に強い。
- リーマン・ショックの影響は、製造業の職場で特に大きかった。また、リーマン・ショック以後に「正規の職員・従業員の減少」などの職場の変化を経験した者ほど、「今の仕事全体について」の満足度が低く、「労働組合に入りたい」と考える傾向にある。
- ライフ・ステージ別に生活及び仕事の満足度をみると、男女とも「夫婦時代」及び「育児・子育て期」で高く、「独身時代」、「父子・母子世帯」で低い傾向が確認できる。
政策への貢献
- 日本人の就業実態の変化を継続的にフォローする基礎的なデータを整備することにより、エビデンス・ベースの政策立案に貢献することが期待される。
- より具体的には、日本人の働き方の実情を幅広く把握し、変化の兆候を的確に捉えることを通じて、労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に寄与できると考えられる。
図表 週実労働時間別にみた、ふだんの仕事で感じる疲れ・ストレスなどの状況(%)
注:グラフに示した%は、「とても感じる」と「やや感じる」の合計である。
本文
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- 第1分冊 本編
- 表紙・まえがき・執筆担当者・研究会メンバー・目次(PDF:622KB)
- 第Ⅰ部 調査結果(PDF:2.1MB)
- 第Ⅱ部 付属資料(PDF:3.9MB)
- 第2分冊 就業者データ編
- 表紙・まえがき・執筆担当者・研究会メンバー・目次・集計方針(PDF:628KB)
- 集計表(4)正規雇用者(PDF:2.3MB)
- 集計表(5)非正規雇用者(PDF:1.7MB)
- 集計表(6)非雇用型就業者(PDF:1.0MB)
執筆担当者
- 高橋康二
- 労働政策研究・研修機構 研究員
- 久古谷敏行
- 高齢・障害者雇用支援機構 研究企画部長
(前)労働政策研究・研修機構 調査・解析部長 - 浅尾 裕
- 労働政策研究・研修機構 労働政策研究所長
研究期間
平成20~23年度
データ・アーカイブ
本調査のデータが収録されています(アーカイブNo.29)。
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