調査シリーズ No.71
今後の雇用ポートフォリオと人事戦略に関する調査
概要
研究の目的と方法
近年の非正社員比率の上昇や社外人材の活用のなかで、企業の人事戦略にも変化がみられる。これらの変化を踏まえ、企業の非正規雇用、社外人材の活用が人事戦略に及ぼす影響等を明らかにするため、当機構では2009年9月、上場企業全数を対象に、「今後の雇用ポートフォリオと人事戦略に関する調査」(以下、「2009年調査」と略)を実施した。本調査は、2007年に実施した「雇用システムと人事戦略に関する調査」(以下、「2007年調査」と略)と雇用調整に関する項目など一部同一の質問を設けており、2007年調査と2009年調査の比較が可能である。なお、本調査は、2008年9月のリーマンショック以降に実施したため、正社員、非正社員、派遣労働者などの雇用動向なども合わせて尋ねている。
主な事実発見
- 2004年頃から2008年半ばまで(リーマンショック前までの)の雇用の増減状況は、正社員では「増えた」とする企業と「減った」とする企業とが同程度で、非正社員、派遣労働者(事務系、技術系、物の製造系)いずれも、「増えた」が「減った」を上回っていたが、2008年9月のリーマンショックを経た後(2008年半ばから現在まで)の増減状況をみると、いずれの就業形態も「減った」が「増えた」を上回っている。とくに、派遣労働者(事務系、技術系、物の製造系)の増減は、「増えた」とする企業はほとんどない。
- 将来(景気回復期)の雇用・受け入れ方針は、いずれの就業形態も「現状維持」とする割合がもっとも高いが、正社員、非正社員、請負・アウトソーシングでは「増やす」が「減らす」を上回っている一方で、派遣労働者(事務系、技術系、物の製造系)ではいずれも、「減らす」が「増やす」を上回っている(図表)。
政策的含意
リーマンショック後の雇用については、いずれの就業形態も「減った」企業が多く、将来(景気回復期)の雇用・受け入れ方針では、いずれの就業形態も「現状維持」がもっとも多い。
正社員と非正社員については増加傾向にあるものの、派遣労働者については受け入れ方針を拡大に転ずる企業が少ないことから、派遣労働者に対する正社員などへの転換の促進支援などの必要性を示唆した。
本文
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研究期間
平成21年度
執筆担当者
- 阿部正浩
- 獨協大学経済学部教授
- 川口 章
- 同志社大学政策学部教授
- 熊迫真一
- 国士舘大学政経学部講師
- Jess Diamond
- カリフォルニア大学サン・ディエゴ校
国際関係・環太平洋地域研究大学院博士課程 - 星 岳雄
- カリフォルニア大学サン・ディエゴ校
国際関係・環太平洋地域研究大学院教授 - 野田知彦
- 大阪府立大学経済学部教授
- 藤本 真
- 労働政策研究・研修機構研究員
- 郡司正人
- 労働政策研究・研修機構調査・解析部主任調査員
- 奥田栄二
- 労働政策研究・研修機構調査・解析部調査員
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