ディスカッションペーパー 19-02
“労働4.0”とドイツ労働法―Krause鑑定意見を中心に

2019年2月25日

概要

研究の目的

第四次産業革命により生じる雇用社会の変化と、それに対応するための新たな労働法政策のあり方について、ドイツ労働法学における議論の到達点を明らかにする。

研究の方法

現地調査 文献サーベイ 研究会開催

主な事実発見

第四次産業革命によって、雇用社会はどのように変化し、またそれによってどのような新たな雇用・労働法政策が必要とされるのであろうか(いわゆる“労働4.0”をめぐる議論)。本稿は、第71回ドイツ法曹大会に提出された、Rüdiger Krause教授による鑑定意見『雇用社会のデジタル化-課題と規制の必要性』を素材として、かかる問いに対するドイツ労働法学における議論の到達点を明らかにすることを目的とするものである。本稿における検討の結果、ドイツにおいては、第四次産業革命(雇用社会のデジタル化)は、労働法の規制領域のなかでも特に、労働時間法・年次有給休暇法・労働安全衛生法・労働者個人情報(データ)保護法・集団的労使関係法・自営的就業者保護法の各分野に対して重要な影響を及ぼし、従って立法政策による対応の要否およびその在り方が議論されていることが明らかとなった。

政策的インプリケーション

Krause鑑定意見において提示されている個々の立法政策上の議論自体、我が国にとって多くの点で示唆的であるが、第四次産業革命の文脈においても雇用・労働法政策形成にかかる基本姿勢として、「エビデンスに基づいた政策形成(EBPM)」がなされるべきこと、またその具体的形成に当たっては、既存の労働法令をめぐる解釈論との関係性を常に意識すべきことを、同鑑定意見から、まずは学ぶべきであるように思われる。

政策への貢献

厚生労働省をはじめ、各種政府会議で資料として活用されることが期待される。

本文

研究の区分

プロジェクト研究「労使関係を中心とした労働条件決定システムに関する研究」
サブテーマ「雇用社会の変化に対応する労働法政策に関する研究」

研究期間

平成30年度

研究担当者

山本 陽大
労働政策研究・研修機構 副主任研究員

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内容について
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※本論文は、執筆者個人の責任で発表するものであり、労働政策研究・研修機構としての見解を示すものではありません。

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