ディスカッションペーパー 18-07
日米における自営業主数の計測
概要
研究の目的
自営業主数、特にプラットフォーマーの数の推計
研究の方法
先行研究レビュー、ウェブ・アンケート調査を用いた自営業主の推計
主な事実発見
- 総務省統計局の労働力調査によれば、1950年代から日本の自営業主は一貫して減少し続けている。2017年の自営業主は528万人である。
- 日本の労働力調査に相当するCurrent Population Survey(CPS)によれば、アメリカにおいても自営業主は減少傾向にある。一方で、納税データによれば自営業主として納税する者は増えており、CPSが自営業主を正確に把握できていないのではないかと指摘されている。
- 2017年5月、アメリカ労働統計局(BLS: Bureau of Labor Statistics)はCPSの追加調査を実施し、典型的な自営業主であるインディペンデント・コントラクターがこの10年間で増えていないことを確認し、一方で、新しい働き方であるオンライン・プラットフォーマーが160.9万人存在するという推計結果を公表した。ただし、これは調査週1週間の人数であり、オンライン・プラットフォーマーはある週に働き、その翌週は働かないというように、散発的に働く特徴があるため、実態を過少に評価している可能性があるとBLS自ら指摘している。
- JILPTは、労働力調査が把握していないオンライン・プラットフォーマーなどの自営業主の数を推計するために2017年4月に「雇われない働き方調査」を行った。その結果、労働力調査が把握していない自営業主、あるいは自営業主に類する雇用でない働き方をする者が467.0万人程度存在する可能性が示された。
- この調査によれば、2017年4月時点の日本のオンライン・プラットフォーマーの数は311.8万人である。また、オフラインの仲介会社を通じて仕事を得るオフライン・プラットフォーマーは351.6万人である。このうち、労働力調査で把握されていないオンライン・プラットフォーマーは280.5万人、オフライン・プラットフォーマーは303.4万人である。
- オンライン・プラットフォーマーのうち174.6万人(全体の55.1%)は、本業で正規の従業員の仕事を持っており、本業の傍ら、プラットフォームを介して仕事を得ている。
- その他、オンライン・プラットフォームの仕事は、オフライン・プラットフォームの仕事に比べて若年層で普及しているなどの特徴も明らかとなった。
政策的インプリケーション
今後、新しい就労形態に関する政策の検討に活用されることを期待する。
政策への貢献
柔軟な働き方について議論する際の資料として活用。
本文
研究の区分
緊急調査
研究期間
平成29~30年度
研究担当者
- 高橋 陽子
- 労働政策研究・研修機構 研究員
お問合せ先
- 内容について
- 研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム
※本論文は、執筆者個人の責任で発表するものであり、労働政策研究・研修機構としての見解を示すものではありません。
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