ディスカッションペーパー 10-05
就業イメージ理解向上のためのキャリア形成支援プログラムの開発 ─キャリアシミュレーションゲーム試作版の開発と検討─

平成22年6月7日

概要

研究の目的と方法

  • 本研究は、若年者の初期キャリア形成を支援し、就業イメージ理解を促進するためのキャリアガイダンスプログラムを試作し、数々の試行を通じてその効果と今後の課題について検討したものである。
  • 試作されたプログラムは二部構成から成る。第一に就職後から十数年先までのキャリアで起こりうる出来事を体験する「キャリアシミュレーションゲーム」、第二に、その結果についてふりかえり、就職後に直面しそうな課題について話し合う「グループワーク」がある。
  • 研究方法としては、主に大学生を中心とした就業経験のない(または少ない)若年者を対象に、様々な実施形態(授業内実施と授業外実施、単独グループ実施と複数グループの同時実施、学校実施と学校外の支援施設での実施)の下に試行を実施した。

主な事実発見

  1. 事後アンケートの結果から、今回試行実施した各形態で、「就職後の経験への見通しが高まった」との回答が66.7~100%の間で得られた。また、「楽しく活動できた」との回答はどの条件においても100%となり、当プログラムに対する心理的な受け止めはスムーズに行われた。
  2. 一方で、グループワークやふりかえりのあり方については、十分な実施時間を取れなかった点など、さらなる工夫と充実が必要である点も確認できた。
  3. 事後アンケートの全参加者分の回答を分析すると、プログラムへ積極的参加傾向を示す「積極的参加因子」のほか、「他者意識因子」、「将来への自信因子」の3因子が独立して抽出された。すなわち、当プログラムに積極的に参加して楽しむことと、将来の自信や不安とは連動しておらず、当プログラムがもたらす効果の範囲や特徴が明らかになった。

試作版セット 

図表1 試作版セット/ディスカッションペーパーNo.10-05

政策的含意

本研究は仮想環境下の啓発的経験を通じた「就業イメージ理解」の促進を目的としたツールとなっている。従来、啓発的経験はインターンシップ等を通じて行われており、実体験ならではの有用性は認められるが、各個人の実体験内容が異なるため、学習内容のコントロールが難しい点が指摘されていた。その点で当プログラムは、グループワークを通じたふりかえりを教室内で一律に実施でき、学習内容のコントロールが可能となっている。さらに、インターンシップと併せて実施することで、キャリア教育での一つの学習プログラムとして、一定の役割を果たせる可能性がある。当プログラムは、一連のキャリアガイダンスプロセスの一助となり、ガイダンス施策全体の充実に寄与すると考える。

本文

研究期間

平成21年度

執筆担当者

深町 珠由
労働政策研究・研修機構副主任研究員

入手方法等

入手方法

非売品です

お問合せ先

内容について
研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム新しいウィンドウ

※本論文は、執筆者個人の責任で発表するものであり、労働政策研究・研修機構としての見解を示すものではありません。


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