ディスカッションペーパー 06-01
アメリカにおける労使関係法上の「使用者」概念と投資ファンドでの実態

平成18年4月11日

概要

アメリカにおける労使関係法上の「使用者」概念と投資ファンドでの実態

本研究は団体交渉上の投資ファンドの使用者性について、アメリカの事例を考察するものです。アメリカにおける労使関係法上の「使用者」概念について「単一使用者」及び「共同使用者」を軸に、NLRB(全国労働関係局)及び連邦裁判所の判断事例を探ってみました。また、投資ファンド会社、投資ファンド業界団体、NLRB、アメリカ全国労働団体、そして労働法学者を対象にヒアリングを行い、労使関係上の投資ファンドの使用者性の実態を調べることとしました。

投資ファンドによる企業買収の場合、「単一使用者」性の判断が用いられると見られます。「単一使用者」に該当するか否かは、所有の共通性、経営の共通性、事業運営の相互関係、そして労働関係の集中的管理の4つの要素を考慮して判断されています。

アメリカで投資ファンドが団体交渉上使用者性を問われたことはありません。その背景として、労働組合が法的な制約のため、投資ファンドに団交の申し入れをしていないという消極的対応が挙げられます。その他に投資ファンドが、団交上使用者性が問われる問題が生じないように被買収企業を選別していること、被買収企業の経営執行に直接関与していないこと、そして従業員の士気低下につながる大量解雇、賃金カット等を極力しないことが挙げられます。

本文

執筆担当者

奥野 寿
立教大学法学部 専任講師
呉 学殊
労働政策研究・研修機構 研究員

入手方法等

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非売品です

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研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム新しいウィンドウ

※本論文は、執筆者個人の責任で発表するものであり、労働政策研究・研修機構としての見解を示すものではありません。

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