スペイン政府、非正規外国人50万人を正規化へ

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  • 国別労働トピック:2026年2月

スペイン政府は1月、国内の非正規外国人(居住許可を持たない外国人)に対する臨時の正規化措置の実施を決めた。2025年末までに5カ月間居住していた層を中心に、およそ50万人が対象となると予測されている。申請が認められれば、1年間の居住や就労が許可され、その後も正規の居住許可による滞在の延長が可能となる。

非正規外国人が急速に増加

スペインでは近年、外国人の流入が続いている。金融危機以降の低迷から景気が回復に転じた2010年代半ば以降、国外出生者はこの10年で358万人増加して946万人となり、総人口に占める比率は2015年の12.7%から2025年には19.3%に上昇している(注1)

図表:出生地別人口の推移
画像:図表

出所:Eurostat 'Population on 1 January by age group, sex and country of birth新しいウィンドウ'

一方、非正規外国人については公式のデータはないものの、シンクタンクFuncasの推計によれば、2025年1月時点の国内の非正規外国人は84万人で、2017年の10万7000人から同様に大幅な増加が報告されている(注2)。増加の大半は、全体の9割(76万人)を占めるアメリカ大陸出身者により、特にコロンビア(約29万人)、ペルー(約11万人)、ホンジュラス(9万人)などの出身者が多くを占めるとされる(注3)。就労状況についても正確な実態は不明だが、農業や家内労働、建設業など、労働集約的かつ労働力不足の傾向にある仕事への従事比率が高いとされ、また法的身分の不安定さなどから搾取にもさらされやすい状況にあるといわれる(注4)

非正規外国人をめぐっては、2005年に開始されたArraigoと呼ばれる制度(注5)を通じて、継続的な正規化の取り組みが行われてきた。過去2年の居住などを前提に、就労や就学、あるいは居住許可保有者との家族関係など、カテゴリに応じた要件を満たせば、1年間の居住許可と、それ以降も要件を満たす限り一定の延長を認めるものだ。2025年9月時点で約37万人が、Arraigoにより国内に居住している(注6)。一方、今回実施が決定した臨時の正規化措置(regularización extraordinaria)は、Arraigo導入以前に不定期に実施が見られた制度だが、2005年の約58万人の正規化(注7)を最後に、長く実施されていなかった。従来は、闇労働による外国人の搾取防止や、税・社会保障への適正な貢献を雇用主に求めることが主眼であったとされるが(注8)、今回の措置を巡っては、経済に不可欠な労働力の活用という側面が強く打ち出されている(注9)

1年間の居住・就労を許可、以降も4年間の延長が可能

新たに実施される臨時の正規化措置の対象者は、2025年12月末までに少なくとも5カ月間国内に居住していた(または12月末までに難民申請を提出した)者で、犯罪歴がないことなどが要件となる(注10)。申請が認められれば、1年間の居住と国内での就労が可能となる(注11)。この期間を超えて以降は、通常の移民制度における就労等のルートへの転換により、4年間までの滞在延長が認められる(注12)。また既に国内に居住する子供が居る場合、当初から5年間の居住許可を付与するとしている。申請の受け付けは4月上旬から開始され、6月末まで行われる予定だ。政府は、およそ50万人が正規化の対象になると予測している(注13)

政府の決定に対して、保守系の野党からは、社会的統合の予算や労働市場規制の強化といった準備もなく数十万人の非正規外国人を正規化すれば、結果的に闇経済を利するのみとなり、また公共サービスへの負荷が高まるほか、さらなる非正規外国人流入の誘因となる、といった批判的な意見が聞かれる(注14)。また、上掲のシンクタンクFuncasは、正規化までに長期間の非正規状態での居住を前提とする現在の制度モデルは、近年のような外国人の急増に対応できず、結果として非正規外国人の大幅な増加を招いているとして、戦略の欠如を批判しており、労働力不足や技能需要に対応した外国人受け入れの管理により正規の受け入れプロセスを強化するよう政府に求めている。

欧州委員会も懸念を示している(注15)。近年、域内各国で移民流入に対する市民の懸念が強まっていることなどを受けて、欧州委は域内外の境界管理や不法入国者の送還等の強化に加盟国の協調を促しているところであり、スペイン政府の今回の決定はこれに逆行するためだ。不法移民の正規化は各加盟国の責任下にあるものの、正規化された外国人による域内他国での不法滞在や難民申請などの事態が生じた場合には、居住許可を発行した国への送還が必須であるとして、スペイン政府を牽制している。

政府は、今回の正規化措置は申請期間を限定して実施するものであり、また過去の事例の分析からも、非正規外国人のさらなる流入の誘因になるとの懸念は当たらないとしている(注16)

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