非正規の無期雇用化計画、順調に実施
―朴政権、公共部門で15年度までに転換

カテゴリー:非正規雇用

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  • 国別労働トピック:2013年6月

韓国政府は、公共部門の非正規労働者を期間の定めのない雇用契約(無期雇用契約)に転換する計画を進めている。2012年は2万2000人の非正規労働者が無期雇用契約に転換された。朴槿惠政権は、大統領選挙の公約に基づき、公共部門で常時・継続的な業務に従事する非正規労働者を15年までに無期雇用契約に転換する方針である。政府は、計画は順調に実施されていると評価している。

2万2000人の非正規を12年に無期雇用化

公共部門で常時・継続的な業務に従事する非正規労働者のうち、2万2069人が12年に無期雇用契約に転換された(表1)。これらの労働者は、46の中央行政機関、246の地方政府、430の公共機関および77の教育機関を含む、合計799の組織で働いていた。各組織は、関係政府機関と共同で策定した「公共部門の非正規労働者の雇用条件を改善するための対策」(11年11月)および「実施ガイドライン」(12年1月)に基づき転換を実施した。転換計画に対し、12年に実際に無期雇用契約に転換された非正規労働者の割合は96.3%であった。また、いくつかの組織は13年1月1日に700人以上の非正規労働者を一斉に無期雇用契約に転換した。韓国政府は、転換計画が順調に実施されていると評価している。

とりわけ、韓国開発銀行、韓国産業銀行、光州広域市政府および仁川交通公社は、非正規労働者の雇用条件改善を主導し、計画よりも多い非正規労働者を正規雇用に転換するとともに、間接雇用労働者を直接雇用に採用した。

表1:2012年の非正規労働者の無期雇用契約への転換(単位:人)
  転換計画 転換実績
合計 2012年上期 2012年下期
合計 22,914 22,069 14,854 7,215
中央行政機関 3,197 2,361 1,132 1,229
地方政府 1,905 1,772 931 841
公共機関 5,517 5,116 2,823 2,293
教育機関 12,295 12,820 9,968 2,852

出所:雇用労働部

常時・継続的業務の非正規を2015年までに無期雇用化

「2012年公共部門非正規労働者実態調査」によると、公共部門には24万9000人の直接雇用の非正規労働者および11万人の派遣・契約企業労働者が働いていた(表2)。11年の同調査の対象組織と同じ範囲で比較すると、公共部門の非正規労働者数は、直接雇用で2万人、間接雇用で1000人、それぞれ減少した。しかし、12年調査では、新たに設立された組織を含む40組織(労働者数約2600人)を対象に追加し、雇用助成プログラムによって雇用された労働者(約3000人)も含めることとした。このため、直接雇用の非正規労働者数は前年より約8000人増加し、24万9000人となった。

朴政権は、大統領選挙の公約に基づき、公共部門で常時・継続的な業務に従事する非正規労働者を15年までに無期雇用契約に転換する方針である。12年の公共部門の非正規労働者約36万人(派遣・契約企業労働者を含む)のうち、2年以上働く、常時・継続的業務に従事する非正規労働者が無期転換の対象となる。常時・継続的な業務に従事しているにもかかわらず、従前の転換計画から除外されていた政府出資機関の研究者も新たに転換の対象とした。

表2:公共部門の非正規労働者数(単位:人、%)
  2011年調査 2012年調査
合計 直接雇用 派遣・契約
企業労働者
合計 直接雇用 派遣・契約
企業労働者
正規
労働者
非正規
労働者
正規
労働者
非正規
労働者
合計 1,690,856 1,350,220 240,993
(14.3)
99,643
(5.9)
1,754,144 1,393,889 249,614
(14.2)
110,641
(6.3)
中央行政
機関
292,648 266,262 18,575
(6.3)
7,811
(2.7)
289,499 263,529 20,074
(6.9)
5,896
(2.0)
地方政府 385,617 327,842 47,516
(12.3)
10,259
(2.7)
385,050 324,281 49,349
(12.8)
11,420
(3.0)
公共機関 402,338 293,085 49,815
(12.4)
59,438
(14.8)
450,576 322,475 54,895
(12.2)
73,206
(16.3)
教育機関 610,253 463,031 125,087
(20.5)
22,135
(3.6)
629,019 483,604 125,296
(19.9)
20,119
(3.2)

出所:雇用労働部「公共部門非正規労働者実態調査」

新転換計画の策定・実施と雇用労働部による支援

11年の「公共部門の非正規労働者の雇用条件を改善するための対策」は、公共部門の各組織に対し、13年までに常時・継続的業務に従事する非正規労働者の無期雇用契約への転換計画を策定・実施するよう求めていた。しかし、雇用労働部はその締め切りを15年まで延長し、それまでに、11年の対策が発表されて以降に採用された労働者を含む新たな転換計画を策定・実施するようすべての公共組織に要請することとした。

雇用労働部は、中央政府機関における無期雇用契約労働者の賃金その他の労働条件を改善するため、関係政府機関と協議を行う。また、学校で働く非正規労働者の特徴を考慮し、当該労働者の雇用安定および労働条件改善のための方策を検討する。例えば、労働者の勤続年数を反映した賃金表に改訂する計画を策定する。他方、清掃夫のような間接雇用労働者を直接雇用に転換する場合、賃金水準設定などの必要事項について助言を行うコンサルティングサービスを常時提供する。

雇用労働部はまた、常時・継続的な業務に従事する間接雇用労働者を、期間の定めのない雇用契約労働者に直接転換することもできるようにする。すなわち、間接雇用労働者を最初に有期の直接雇用労働者に転換し、その後、無期雇用契約労働者に変更する現在の転換制度から、間接雇用労働者を無期雇用契約労働者に直接転換する簡易な制度への移行をめざしている。

参考

  • 雇用労働部Web情報

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