社会的企業育成へ第2次基本計画を策定
―5年間で3000企業を創設

カテゴリー:多様な働き方

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  • 国別労働トピック:2013年2月

政府は2012年12月24日、社会的企業の持続可能性を高め、その価値の普及をめざし、社会的企業育成のための第2次基本計画(2013~2017年)を発表した。期間中に3000の社会的企業を創設するため、主要4分野で61の政策課題を実行する計画である。

第1次基本計画の成果と第2次基本計画の重点政策課題

韓国では、社会的企業育成法が2006年12月に制定され、2007年7月に施行された。同法は、社会的企業を支援して社会サービスを充実させ、新しい雇用を創出することにより、社会統合と国民の生活の質の向上に寄与することを目的としている。雇用労働部長官は、社会的企業を育成・支援するための基本計画を5年ごとに策定することとされている。

社会的企業育成のための第1次基本計画(2008~2012年)の結果、社会的企業数は2007年の50から2012年には774に増加し、社会的企業の従業員数も2007年の1403人から2012年には1万8689人に増加した。政府は、これらの量的拡大が、人件費支援、販路開拓、金融・税制支援、公共機関の優先調達などの様々な支援制度によってもたらされたと評価している。

第2次基本計画(2013~2017年)は、(1)社会的企業の持続可能性の強化、(2)オーダーメイド型支援制度の確立、(3)社会的企業の役割の拡大と成果普及、(4)民間企業と地域社会の協力関係強化、の4分野の主要政策課題を掲げている。

社会的企業の持続可能性の強化

政府は、社会的企業の製品市場開拓のため、オンライン、オフラインの販路拡大を支援する。また、製品情報ウェブサイトの開発や購入ポイント制度の導入を検討する。社会的企業に投資する社会的投資ファンドを設立し、最高融資額および融資期間を拡大する。社会的企業からの公共調達に1兆ウォンを支出するため、公共機関ごとに目標調達額や目標調達割合を導入することを検討する。公共調達に適した製品開発、広報、マーケティングや販路に関する相談・情報提供を行う公共調達センターを運営する。人件費支援を段階的に削減する一方、事業開発費に対する支援を大幅に拡大する。

弱い立場の人々の雇用を持続させるため、3年以上弱い立場の人々を雇用している社会的企業に対しては、人件費を賄う奨励金を支給する。

オーダーメイド型支援制度の確立

政府は、社会的企業の成長段階(起業、市場参入、成長、再構築)に応じた専門的なコンサルティング・サービスを提供するとともに、財政、販売、マーケティング、設計などを専門とする支援組織を育成する。協同組合が社会的企業に発展できるよう研修やコンサルティング・サービスを提供する。青年向け社会的企業インターシップ・プログラム、ベビーブーマーや壮年期の人々の特性に合ったプログラムを運営する。

大学や大学院の質の高いインフラ施設を利用して社会的企業指導者コースを開設し、革新的事業モデルを推進する社会的企業家フェローシップ・プロジェクトを実施する。継続的サービスを通じて社会的企業の持続可能性を高めるために、社会的企業の状況を調査する。

社会的企業の役割の拡大と成果普及

政府は、社会サービスの範囲を拡大する観点から、社会的企業の役割を拡大する対策を講じる。様々な種類の社会的企業を発展させるため、社会的企業の認証要件をより具体的に作成する。例えば、雇用支援の分野では就業経験および職業的・社会的技能訓練を含む総合雇用サービス、社会的企業に対する支援の分野では財政、マーケティング、広報、流通などの支援を行う社会的企業の育成をめざしている。

政府は、好事例や成功モデルを普及させるとともに、社会的企業に説明責任を果たさせるための事業開示制度を拡大する。また、全国民に社会的企業の意義と価値を普及させる取り組みを行う。

民間企業と地域社会の協力関係強化

政府は、民間企業が事業ノウハウを社会的企業に移転し、資金、販路、コンサルティングや広報に関する支援を提供することを奨励する「1企業、1社会的企業キャンペーン」を実施する。また、引退した専門職や壮年期の失業者が社会的企業で就業できるよう、社会貢献就業プログラムを拡大する。対象は、少なくとも3年の就業経験を持つ50歳以上の引退した専門職およびキャリアブレイク中の女性である。

政府は、地方政府と協力して、地域社会が社会的企業の製品を展示・販売し、教育・広報活動を行うプロジェクトを実施する。労働者と消費者が地域住民として参加する地域社会を基盤とする社会的企業の設立を支援することにより、仕事やサービスを創造する地域社会の創設を促進する。

第2次基本計画の主要政策課題

  1. 社会的企業の持続可能性の強化
    • 社会的企業の市場開拓の支援
    • 財政的支援と投資の拡大
    • 社会的企業からの公共調達の拡大
    • 助成金制度の改善
  2. オーダーメイド型支援制度の確立
    • コンサルティング・サービスの拡大と効率化
    • 支援組織の能力およびインフラの強化
    • 社会的企業家のための研修の拡大
    • 継続的サービスの提供
  3. 社会的企業の役割の拡大と成果普及
    • 社会的企業の役割の拡大
    • 社会的企業の成功モデルの普及
    • 社会的企業の責任の強化
    • 社会的企業に関する合意の普及
  4. 民間企業と地域社会との協力関係強化
    • 社会的企業に対する民間企業の支援強化
    • 民間部門の人的資源と社会的企業とのつながりの強化
    • 社会的企業と関連地域社会や産業との交流推進

参考

  • 雇用労働部Web情報

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