障害者の雇用促進のための制度改革

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2012年9月

雇用労働部は8月7日、障害者の雇用を促進するための制度改革を来年実施すると発表した。障害者の法定雇用率を達成できない事業所に課される障害者雇用負担金の適用基準を厳格化する。また、企業が障害者を数多く雇用する「障害者のための標準的な職場」(以下「標準的な職場」という)を子会社として設立する場合の助成要件を緩和する。

障害者義務雇用制度の概要

韓国では、「障害者の雇用促進および職業再活法」により障害者の義務雇用制度を定めている。常時50人以上の労働者を雇用する事業主は、5%の範囲内で大統領令が定める比率(法定雇用率)以上に障害者を雇用しなければならない。法定雇用率は現在、国および地方自治体、公共機関で3%、民間企業で2.5%となっている。

常時100人以上の労働者を雇用する事業所が法定雇用率を達成できない場合、法定雇用率に従って雇用義務のある障害者数(障害者雇用割当数)から常時雇用している障害者数を引いた未達成人員数に負担基礎額を乗じた額を月単位で算定し、年間合計額を障害者雇用負担金として納付しなければならない。負担基礎額は、障害者雇用割当数の達成率に応じて、50%以上の場合は59万ウォン、50%未満の場合は88万5,000ウォン、0%の場合は95万7,000ウォンの3つカテゴリーに区分される。常時50人以上100人未満の労働者を雇用する事業所には障害者雇用負担金は課されない。

義務雇用未達成企業に対する罰則の強化

韓国政府は、来年から、障害者雇用負担金の負担基礎額について、障害者雇用割当数の達成率が50%以上のカテゴリーを2つに区分し、合計4つのカテゴリーに細分化する。障害者雇用割当数の達成率が50%以上75%未満の場合は負担基礎額を新たに73万7,000ウォンとし、75%以上の場合は従来どおり59万ウォンとする。障害者雇用割当数の未達成企業に対する罰則を強化することにより、障害者雇用の促進をめざしている。

例えば、フルタイム労働者1,000人を雇用する民間企業の場合、法定雇用率(2.5%)を達成するために、少なくとも25人の障害者を雇用しなければならない。しかし、企業が15人の障害者しか雇用していない場合、障害者雇用割当数の達成率は60%である。この場合、企業は、1月当たり、不足する10人(25人-15人)に負担基礎額73万7,000ウォンを乗じた金額(737万ウォン)を負担しなければならない。従来の50%以上の負担基礎額59万ウォンで計算した障害者雇用負担金(590万ウォン)と比較すると、企業の負担は1月当たり147万ウォン増加する。

「標準的な職場」の設立要件の緩和

韓国政府は、企業が障害者を数多く雇用する「標準的な職場」を子会社として設立した場合、企業に対し10億ウォンを上限に助成金を支給している。「標準的な職場」の認定基準は雇用労働部令で定められており、現在はフルタイム労働者の30%が障害者であり、そのうちの50%が重度障害者に分類される職場がこれに該当する。「標準的な職場」で働く障害者の数は、親会社の障害者雇用割当数の達成率の計算に含めることができる。

雇用労働部は、障害者の雇用促進および職業再活法施行令を改正し、企業規模に反比例して、「標準的な職場」の認定要件を緩和する予定である。改正法では、「標準的な職場」に認定されるために、フルタイム労働者100人以下の「標準的な職場」は、15%の重度障害者を雇用する必要がある。フルタイム労働者100~300人の「標準的な職場」は、5人の重度障害者に加えて、10%の重度障害者を雇用しなければならない。フルタイム労働者300人以上の「標準的な職場」は、20人の重度障害者に加えて、5%の重度障害者の雇用割当を達成する必要がある。

改正法が施行されると、フルタイム労働者100人の「標準的な職場」の重度障害者の雇用割当数は15人で変わらないが、フルタイム労働者200人の「標準的な職場」の障害者雇用割当数は30人から25人に減少する(10%+5人)。フルタイム労働者300人の「標準的な職場」の重度障害者の雇用割当数は、45人から30人に減少する(5%+20人)。

韓国政府は、産業の特性などにより、障害者を容易に雇用できない大企業が、「標準的な職場」を運営する子会社を設立することを奨励している。

参考

  • 韓国労使発展財団・国際協力センター(KOILAF)Web情報

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