育児期の短時間勤務を容易化、介護休暇制度も導入
―仕事と家族の両立法、改正へ
「男女雇用平等および仕事と家庭の両立に関する法律」の改正法が7月3日に閣議決定され、8月2日から施行された。法改正により、経済的理由で育児休暇を取得できなかった労働者の短時間勤務が容易になるとともに、病気の家族を介護する労働者が3カ月間の介護休暇取得後、職場復帰することが可能となった。
短時間勤務制度の概要
育児期の短時間勤務制度は、就学前(6歳以下)の子供を持つ労働者が育児休暇を取得する代わりに短時間勤務し、子供の面倒をみながら働き続けることができるようにする制度である。2008年に導入され、同年1月1日以降に生まれた子供にのみ適用さている。育児期に短時間勤務を希望する労働者は、短時間勤務の始期と終期、就労時間を記入した申請書を短時間勤務開始日の少なくとも30日前までに使用者に提出しなければならない。
労働者は、週当たり労働時間を15~30時間に短縮することができ、賃金は労働時間に比例して支払われる。例えば、月給200万ウォンの労働者が週労働時間を40時間から25時間に短縮した場合、賃金は労働時間に比例して125万ウォンに減少する。他方、労働者は、育児休暇手当80万ウォン(賃金の40%)に、週労働時間に対する短縮した労働時間の割合(15時間/40時間)を乗じて算定される労働時間短縮手当30万ウォンを雇用支援センターから受け取ることができる。
使用者側にも育児休暇のための助成金として月額20万ウォンが支給される。支給要件は、(1)労働者に育児休暇を30日以上付与すること、(2)育児休暇が終了した労働者を少なくとも30日以上継続雇用すること――である。助成金の2分の1は、労働者を少なくとも6カ月以上継続雇用した場合に支払われる。
使用者の拒否理由の制限
「男女雇用平等および仕事と家庭の両立に関する法律」は、労働者が短時間勤務を申請した場合、使用者はこれを許可してもよいと規定している。このため、これまでは、使用者が申請を拒否することが可能であった。今回の法改正により労働者が育児期の短時間勤務を希望した場合、使用者は特別な理由がない限りこれを許可しなければならなくなる。特別な理由とは、(1)労働者の勤続期間が1年未満の場合、(2)労働者の配偶者が育児休暇を取得している場合、(3)使用者が少なくとも2週間代替労働者を探してもみつからなかった場合、(4)業務の性質上、労働時間を分割して勤務することが困難な場合、(5)短時間勤務が通常の事業活動に重大な支障を及ぼす場合――などである。使用者が、正当な理由なしに労働者の短時間勤務申請を拒否した場合、500万ウォンの罰金が課せられる。この法改正は2012年8月2日からすべての事業所に適用され、育児期の短時間勤務制度がさらに普及すると期待されている。
家族介護休暇制度の導入
家族介護休暇は、家族(両親、子供、配偶者および配偶者の両親)が病気、事故や高齢によって介護を必要とする場合、労働者が最長90日、家族介護のための休暇を取得できる制度である。 2012年8月2日から従業員300人以上の事業所に適用され、2013年2月2日から300人以下の事業所にも拡大される予定である。 これまで、労働者には、家族が病気になった場合、年次有給休暇以外に利用できる休暇制度がなかった。新たに導入される家族介護制度は、病気の家族の面倒をみるために仕事を辞めなければならなかった労働者にとって、大きな助けになると期待されている。
労働者が家族介護休暇を申請した場合、使用者は特別な理由がない限り、これを許可しなければならない。特別な理由とは、(1)労働者の勤続期間が1年未満の場合、(2)その他の家族が介護を行える場合、(3)使用者が2週間代替労働者を探してもみつからなかった場合、(4)家族介護休暇が通常の事業活動に重大な支障を及ぼす場合――などである。
家族介護休暇の取得を希望する労働者は、介護の対象者、休暇期間を記入した申請書を休暇開始日の少なくとも30日前までに使用者に提出しなければならない。
労働者に対し家族介護休暇期間中の手当は支給されないが、休暇期間は勤続期間に通算される。このため、労働者が昇進、昇給や退職手当に関して不利益を被ることはない。
雇用労働部は、家族介護休暇を付与する使用者に対する支援策について、その他の関係政府機関と協議を行っている。
参考
- 韓国雇用労働部Web情報
- 委託調査員レポート
参考レート
- 100ウォン(KRW)=6.87円(※みずほ銀行ウェブサイト2012年7月27日現在)
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