自動車メーカー、深夜勤務廃止で労使合意

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  • 国別労働トピック:2012年11月

現代自動車労使は8月30日、長年の懸案であった生産現場の昼夜2交代制勤務を廃止し、2013年3月から昼間連続2交代制を導入することに合意した。これに続いて、起亜自動車および韓国GMの労使も9月12日、深夜勤務を廃止し、現代自動車と同様のシフト制を導入する合意に達した。

現代自動車、生産性向上により生産量と賃金水準を維持

2012年の賃金交渉において、現代自動車の労働組合は強硬な姿勢を堅持し、4年ぶりとなるストライキを7月13日から断続的に28回実施した。その影響により同社の自動車生産は8万2000台減少し、1.7兆ウォンの損失が発生した。その最大の争点となったのが1967年以来45年間続いてきた生産現場の昼夜2交代制勤務をめぐる問題であった。

現代自動車の生産現場労働者の年間総労働時間は2040時間であり、OECD加盟国平均の年間1749時間(2010年)より291時間も長い。労働組合は、長時間労働の原因が昼夜2交代制勤務にあると主張し、深夜勤務の廃止を要求してきた。

昼夜2交代制による現行の勤務時間は、1組が午前8時~午後6時50分、2組が午後9時~翌日午前8時の各10時間(昼夜とも2時間の時間外労働を含む)である。今回合意に達した昼間連続2交代制の勤務時間は、1組が午前6時40分~午後3時20分の8時間、2組が午後3時20分~翌日午前1時10分までの9時間(1時間の時間外労働を含む)。昼休みを除くと1日の労働時間は3時間短縮されることとなる。

現代自動車労使は、労働時間の短縮による生産量の減少を回避するため、生産性の向上と追加作業時間の確保を通じて生産量を維持することとした。また、時給で働く労働者の減収を避けるため、賃金を月給制に変更して賃金水準を保障することに合意した。

会社側は、生産性向上のために生産ラインに約3000億ウォンの設備投資を行う計画である。組合側が要求していた社内下請企業労働者の正規化については、会社側が2015年までに3000人以上の社内協力企業従業員を新規採用する提案を行い、詳細について今後労使で協議していくこととなった。

賃金については、基本給を9万8000ウォン(5.4%)引き上げるとともに、成果給・奨励金として月額通常賃金の500%に960万ウォンを上乗せした金額を支払うことで合意した。9月4日に行われた組合員投票では、昼間連続2交代制の導入を含む賃金協約案が52.7%(約4万5000人)の賛成で承認された。

起亜自動車、韓国GMも昼夜連続2交代制を導入

起亜自動車においても5月中旬から労使交渉が続いてきた。労働組合は7月13日以降33回のストライキを実施した。その影響で自動車生産が約6万3000台減少し、1兆350億ウォンの損失が発生した。

起亜自動車労使は、最終的に、現行の昼夜10時間の2交代制勤務を廃止し、昼間連続2交代制(8時間+9時間)を2013年3月から導入することに合意した。勤務時間は、1組が午前7時~午後3時40分、2組が午後3時40分~翌日午前1時30分(1時間の時間外労働を含む)である。昼間連続2交代制導入後も現在の生産量を維持するため、会社側は生産ラインの改善に3036億ウォンを投資し、労働組合も1時間当たりの生産台数を増やすことに同意した。

賃金については、基本給を9万8000ウォン(5.3%)引き上げるとともに、成果給・奨励金として月額通常賃金の500%に960万ウォンを上乗せした金額を支払う。9月14日に行われた組合員投票では、昼間連続2交代制の導入を含む賃金協約案が59%(約3万1000人)の賛成で承認された。

韓国GMでは5月17日以来、9月12日の合意に至るまで31回の労使交渉が行われた。その間、組合の実施した部分的なストライキにより自動車生産が2万4000台減少した。労使は8月、当初の賃金協約案に合意したが、組合員の批准投票において81.3%の反対で否決された。昼夜2交代勤務制の変更に関する条件が不明確であることが否決の一因となった。最終的には、現代自動車で採用された昼間連続2交代制(8時間+9時間)と同様のシフト制を2014年に導入することで労使が合意した。ただし、現代自動車と起亜自動車が表明した、生産性向上のための新たな設備投資計画は、今回の賃金協約には盛り込まれていない。

賃金については、基本給を9万5000ウォン引き上げるとともに、300万ウォンの妥結一時金および600万ウォンの成果一時金を支払うことで合意した。9月18日に行われた組合員投票では、昼間連続2交代制の導入を含む賃金協約案が60%(約1万3000人)の賛成で承認された。

参考

  • 委託調査員レポート

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