就業人口の高齢化と厳しさを増す若年層の雇用情勢

カテゴリー:若年者雇用

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  • 国別労働トピック:2004年9月

2004年に入っても雇用情勢をめぐっては非正規労働者の権益保護や若年層の就職難解消などが最大の政策課題になっているのに変わりはないが、ここにきて、雇用構造の変化につながるような新しい傾向が目につく。例えば、景気低迷の影響で週労働時間が18時間未満の不完全就業者が増えていることや、就業人口の高齢化が進んでいること、就職準備を理由に労働市場から退出する若年層が増えていることなどである。特に若年層の雇用情勢は依然としてその厳しさを増している。

不完全就業者の増加と就業人口の高齢化

2004年に入って、内需不振による景気低迷が尾を引いているなか、就業人口の増加傾向とともに、週労働時間が18時間未満の不完全就業者数も増加に転じている。7月末現在の就業者数は2275万人で2003年同月の2245万6000人より29万4000人、2003年末の2209万6000人よりは65万4000人増えている。そして週労働時間18時間未満の就業者数も7月末現在82万4000人で2003年同月の67万4000人より22%増えている。そのうち、追加就業を希望する者は16万人で2003年同月の11万人より45.5%増を記録するなど、景気低迷の影響で週18時間未満の不完全就業を余儀なくされる者の増加傾向が目立つ。このような追加就業を希望する者は1999年の年平均18万7000人をピークに、2000年に13万6000人、2001年に12万3000人、2002年に10万6000人、2003年には10万人へと減少傾向が続いていたが、ここにきて増加に転じているのである。

次に注目されるのは、就業人口の高齢化が進んでいることである。年齢別就業者数の推移をみると、7月末現在30代と若年層(15~29歳)は2003年同月に比べてそれぞれ3万、4万5000人減ったのに対して、40代、50代、60代はそれぞれ16万8000人、12万2000人、7万9000人増えるなど、中高年層の増加傾向が著しい。そして2003年末に比べると、60代、50代、40代はそれぞれ29万人、12万6000人、11万3000人増を記録したのに対して、若年層と30代はそれぞれ10万4000人、3万人増にとどまるなど、就業人口の高齢化が顕著にみられる。特に、2004年5月には初めて40代の就業者数(623万8000人)が30代のそれ(623万人)を上回り、7月にもその傾向は続いている。10年のスパンでみると、30代就業者の割合は1994年6月の30.5%から2004年同月に27.2%へと下がったのに対して、40代のそれは1994年6月の19.8%から2004年同月には27.0%へと上昇しており、30代に代わって40代が就業人口の主役になるのはそう遠くないということが分かる。

その一方で、失業者数は7月末現在81万4000人で2003年同月より3万3000人増え、失業率は0.1%上昇し、3.5%を記録した。年齢別失業者数の推移をみると、30代、40代、50代、60代は2003年同月よりそれぞれ1万4000人、4000人、9000人、4000人増えたが、失業率は3.0%、2.1%、2.2%、1.1%を推移している。しかし、若年層は38万6000人で2003年同月より1000人増にとどまったが、失業率は7.6%と高止まりの状態にある。そして2003年末に比べると、50代、30代、40代、60代はそれぞれ1万4000人、1万2000人、7000人、1000人増えたのに対して、若年層は4万6000人減り、異例の減少傾向を見せている。その大半は就業にこぎ着けた者ではなく、求職活動を諦め、再び就職に備えての勉学や訓練などに戻ったため、労働力人口から外れた者で占められている。労働部によると、6月末現在就職準備を理由に労働市場から退出した者は30万6000人に達している。

厳しさを増す若年層の雇用情勢

統計庁の「若年層付加調査」により、厳しさを増す若年層の雇用情勢が改めて浮き彫りになった。統計庁は2002年から毎年5月に若年層の雇用実態をより詳しく把握するために「若年層付加調査」を実施しているが、今回の調査では若年層が卒業・中退した者と在学・休学中の者に分けられ、それぞれの就業・職業訓練・インターンシップなどの実態が明らかにされた。

まず2004年5月末現在若年層(15~29歳)1016万1000人のうち、学校を卒業・中退した者は55.4%で、在学・休学中の者は44.6%をそれぞれ占めている。卒業・中退した者562万7000人のうち、労働力人口は426万9000人(75.8%)、そのうち就業者は393万8000人(70%)にとどまり、失業率は7.8%に上っている。これに対して、在学・休学中の者453万1000人のうち、労働力人口は71万3000人(15.7%)、そのうち就業者は65万7000人(14.5%)にすぎず、失業率は7.6%を記録している。ただし、在学・休学中の者の場合、夏・冬休みなど季節によって求職活動に入る割合が急増し、一時的に労働力人口や失業者数の大幅な増加につながる傾向が目立つ。

第2に、卒業・中退した者を対象にまず産業別就業者数の推移をみると、事業・個人・公共サービス業へのそれは2002年の34.7%から2003年に36.2%、2004年には37.0%へと増え続け、製造業も2002年の20.8%から2003年に21.2%、2004年には21.9%へと僅かながら増加傾向にある。

次に、雇用形態別推移をみると、常用労働者は2002年の46.1%から2003年に49.1%、2004年には50.3%へと増え続けている反面、臨時雇いは2002年の36.6%から2003年に36.5%、2004年には35.9%へと僅かながら減り続けている。そのほか、自営業者も2002年の7.0%から2003年に6.0%、2004年には5.3%へと減少傾向にある。

第3に、若年層のうち、職業訓練を受けたことがある者は198万5000人(19.5%)にとどまっている。そのうち、55.9%は在学・休学中に訓練を受けている。また訓練機関をみると、私設の各種学校が65.7%に上っているのに対して、公共職業訓練機関と民間職業訓練機関はそれぞれ11.8%、6.5%にすぎない。

そのほかに、在学・休学中に職場体験がある者は41.9%を占めている。そのうち、パートタイマが52.3%、フールタイム勤務が32.4%、学校の現場実習が13.1%をそれぞれ占めている。それに対して、企業主導のインターンシップと政府支援の職場体験プログラムはそれぞれ1.2%、1.0%にすぎない。

ちなみに、政府支援の職場体験プログラムには就業支援制度と研修支援制度がある。前者は企業でのインターンシップを経て正社員として就職することを支援するもので、対象企業に1人当たり月60万ウォン(注1)を3カ月間支給し、さらに正社員として採用する場合は3カ月分を追加支給する。後者は現場実習を通して職業能力の向上や進路設計を支援するもので、月30万ウォンの研修手当を最長6カ月間支給する。労働部によると、6月末現在就業支援制度に9000人、研修支援制度には5万6000人など合わせて6万5000人が参加しており、職場体験プログラムへの参加者数は2003年同期(就業支援3000人、研修支援2万9000人合わせて3万2000人)に比べて104%増えている。同プログラムへの参加を希望する者はすでに10万人を超えており、とりわけ在学中の者の間で厳しい就職難を前にして少しでも有利な条件を身につけようとする動きが広がりを見せていることの現れである。例えば、4年制大学卒業者の就職率の推移をみると、通貨危機後の1998年に50.5%にまで落ち込んだ後、2002年に60.7%へと回復したが、2004年には再び56.4%へと大幅に下がっており、厳しい就職難を物語っている。

第4に、卒業・中退した者のうち、91.9%は1回以上就職したことがある。そのうち、1回は36.2%、2回は23.6%、3回は17.4%、4回以上は14.8%で、早くも転職を経験している者が過半数を占めていることになる。就職経路をみると、公募は39.7%、縁故によるものは49.3%で、そのうち、家族・親類の紹介が26.5%、在職者の紹介が12.5%、学校の先生の推薦が10.3%をそれぞれ占めている。学歴別にみると、高卒の場合、公募は29.7%にとどまり、縁故は59.3%に上るのに対して。4年制大学以上の場合、縁故は33.4%にとどまり、公募は56.5%に達している。

第5に、卒業・中退した者のうち、雇用労働者として就職したことがある者は501万1000人に上る。最初の就職にかかった期間をみると、3カ月未満が56.1%、3~6カ月未満が11.3%、1~2年未満が10.7%、3年以上が8.7%などの順となっており、平均で11カ月かかっている。最初の職場での勤続期間をみると、1~2年未満が25.5%、6カ月~1年未満が19.6%、3年以上が18.2%などの順となっており、平均で21カ月を記録している。

そして、卒業・中退した者のうち、最初の職場を退職したことがある者(失業者、非労働力人口を含む)は355万9000人に上る。その理由をみると、報酬及び労働条件に対する不満が39.4%、健康・結婚・育児など個人または家族の事情が22.3%、将来の展望が見えないことが8.6%、専攻や適性などが合わないことが7.3%、休廃業・倒産などが3.9%などの順となっている。

今回の調査からは「1年近くの就職活動の末ようやく就職にこぎ着けたものの、期待がはずれ、条件が合わないことを理由に2年足らずで辞めてしまうケース」が若年層の平均像として浮かび上がってくる。

若年層の高い失業率をめぐって、労働部は最近、「企業の新規採用縮小及び経験者中途採用優先の方針や、若年層の高学歴化及び労働需要とのミスマッチのほかに、生活や就職活動における親への高い依存度も新たな要因として少なからぬ影響を及ぼしている」との見解を表明している。「親から独立した者の就職率は87.2%に上っているのに対して、親と同居する者の就職率は68.4%にとどまっている」というのがその根拠となっているようである。若年層の雇用情勢はますます複雑な様相を呈している。

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