新卒者の就職難が深刻化/若年失業支援策

カテゴリー:若年者雇用

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  • 国別労働トピック:2004年8月

2003年の完全失業率は3.5%で、全体的には高い水準といえないが、新規学卒者の就職難が深刻化している。高等教育省が6月に発表した調査によると、新規学卒者の就職率は57.4%に過ぎず、13.5%の進学者を除く29.4%は失業状態にある。失業中の新規学卒者のエスニック・グループ別内訳は、マレー人その他の原住民が22.9%、中国人が5.2%、インド人が0.7%、その他が0.7%だ。

新卒者の就職難を懸念する同省は、新卒者の市場価値、技能の向上によるエンプロイアビリティを推進するため、17国公立大学における「二重専攻プログラム」の実施を提案。シャフィ・モハマドサリ高等教育相は、各国公立大学に、同プログラムのすみやかな実施を求めた。これを受けて各大学は、2004年から2005年を目途に、同プログラムをスタートする方向で合意した。

モハマドサリ高等教育相は、「一部の大学では既に二重専攻による学士号の取得が可能。しかし、その専攻の内容に注意すべきだ」などと述べ、卒業後のエンプロイアビリティを意識した学問の選択の必要を強調。具体的には、社会学やイスラム研究といった組み合わせは避け、二重専攻のうちの片方は、法学、経済学などの労働市場で評価されやすい学問を学生が選択するよう、各大学関係者に奨励した。

一方、国内治安省では、新卒者の失業対策として、若年失業者の警察ボランティア隊(1ヶ月24時間勤務で72リンギ、24時間を超える場合、超過分1時間あたり3.4リンギ支給)への参加を提唱している。警察ボランティア隊に志願できるのは、犯罪歴のない若年失業者。マレーシア犯罪防止協会、マレーシア航空ほかが実施するマレーシア性犯罪防止キャンペーンのための特別枠も含め、現時点で3000名の欠員がある。夜間勤務のみの応募も可能だ。応募者は、研修受講の後、採用となり、パトロール、交通規制など、取り調べ・捜査以外の一般業務に従事する。警察ボランティア隊は、強姦やひったくりの急増に伴う警察官の人員不足にも対応したもの。各国公立大学もこれにあわせ、警察ボランティア隊への新卒者の参加を奨励するプログラムを、近々導入する見込みだ。

新卒者の厳しい就職環境についてマレーシア経営者連盟(MEF)モハマド・ジャファール・アブドゥル・カリム会長は、「労働需給など、労働関連統計・データの未整備が、ミスマッチの要因のひとつである」とコメント。若年失業支援策と平行して、業種・職種別の求職情報の改善が求められる。

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