2004年上半期の労働市場、堅調に推移

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2004年7月

2004年上半期のタイ労働市場は、好調な経済に支えられ、安定した状況を保っている。懸念材料としては、水不足による農業部門の雇用悪化と、原油価格の上昇による経済への悪影響が挙げられているが、失業率は例年並みの数字が発表されており、労働市場は堅調に推移している。

2004年全体の失業率、予測値は2.0%

タイ国家統計局(NSO)が4月下旬に発表した2004年の雇用動向見通しによると、2004年の失業率は、同年1月に発表した予測値の1.5%から0.5ポイント高い2.0%へ修正して発表された。数値を上げた理由としては、特に地方での水不足と例年より高い気温から生じる農業部門の不作が予想されるため。実際に2004年1-2月の失業者は、前年度から約1万人増加した71万3000人と見られている。またNSOが発表した2004年3月の失業率は2.4%で、前年同月比で0.4ポイント低下している。3月の全人口は6,483万人で失業者は84万人。地方別では東北部の失業率が最も高く3.7%(前年同月比0.4ポイント低下)、次いでバンコクが2.6%(同0.4ポイント上昇)となった。他の地方は1.6~1.8%を示している。

GDPの伸び率修正されるも、経済全体は好況

経済全体では、政府シンクタンクの国家経済社会開発委員会(NESDB)が国内総生産(GDP)伸び率を7~8%から7~7.5%に、財務省も7.7~8.1%から7.1%に下方修正すると報告している。下方修正の理由は、原油価格の上昇と金利の上昇が挙げられた。とはいえ、経済の好況を示す事例として、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した「2004年世界競争力ランキング」によると、タイは2003年の30位から29位に順位を上げている。このランキングは世界60の国と地域を対象に、1.経済状況2.政府の効率性3.企業の効率性4.インフラ設備の4部門における約300項目を指数化して順位付けしたもの。1位はアメリカ(2003年1位)、2位はシンガポール(同4位)。日本は23位、中国は24位となっている。

項目別において、タイは「失業率の低さ」と「政府の経済政策」で1位にランキングし他にも、「インターネット料金の低さ」(2位)、「若年者の失業率」「政党の経済政策理解度」(3位)などの項目で高い評価を受けているようだ。

一方、評価が悪かった項目としては、「対GDP比保健・医療支出」(58位)、「医師・看護師に比較した人口の少なさ」(57位)、「進学率」(57位)、「外国投資への規制」(56位)、「株式市場でのインサイダー取引の横行」(55位)などが挙げられている。

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