女性労働運動家、工場労働の女性従業員の現状を報告、改善を求める

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2004年5月

3月1日の国際女性デーにあたり、各分野の識者、活動家らが、タイの女性労働者の権利向上を訴えた。経済回復を達成したように見えるタイにおいても、労働者の権利、特に学歴の低い工場労働に従事する女性労働者は厳しい労働環境にあることが明らかとなっている。

工場労働に従事する女性労働者の現状

NGO機関のThe Friends of Women Foundationのブンディット女史は、2002-2003年における工場女性労働者の労働環境に関する調査において、生活の質向上に改善が見られなかったことを明らかにした。この調査結果によると、多くの工場において女性従業員は、日々の支払いを賄うため、1日14時間以上の労働に従事していながら、社会保障や福利厚生などの恩恵は得られていないという。労働省の労働保護福祉局の報告書によると、2002年において903の企業の4万4783人が解雇され、そのうち2万1151人が女性労働者であったという。

タイ・繊維・縫製・皮革製品労働連盟のカンジャイ会長は、タイの工場労働者は機械のように働かされ、ある工場では週に36時間の残業を課せられるところもあると報告した。

労働保護福祉局のチャイユース副局長は、経済不況によって労働者は金銭以外の選択肢をなくしてしまったとし、その働き方が健康を害している事実を明らかにした。

解雇問題で大きなニュースとなったタイ・デュラブル・テキスタイルに30年勤務し解雇され、現在は解雇者のネットワークの会の会長を務めるアルーネ女史は、工場労働の女性従業員は、1日のほとんどを工場で過ごし、税金も納め、社会保障基金の一部も負担している。しかし現実には、彼女達が解雇されたときに政府からの支援は何も望めない現実を切実に語った。

タマサート大学法学部のマリー女史は、現在の女性労働者の現状を改善するには、現行の法制度を改善することが不可欠であると語る。そしてタクシン首相がこのような女性の現状よりも経済的な問題にばかり注意を払っている点が問題であると指摘した。

労働運動家のヴィライワン氏は、3年に3人の労働大臣というように、労働政策のトップを頻繁に変えすぎることが政策の不連続を生んでいることを指摘している。

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