2003年のGDP成長率はゼロかマイナスの公算が大

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ブラジル地理統計資料院(IBGE)は、2003年第3四半期のGDPが、前年同期比で-15%、2003年の前期比で0.4%のプラスと発表し、エコノミストや財界に悲観的な見方が広がった。このため、民間では2003年はゼロ成長か、あるいはマイナスになる可能性を予想し始めている。ルーラ大統領は、2003年下半期から素晴らしい回復を実現すると発表し、2003年のGDPは15~24%成長する予想を出していたが、回復は当分先送りになると認めざるをえなくなっている。

企画省の応用経済研究所は、2003年12月に入って、2003年のGDPの予想をこれまでの+0.5%から0.2%に下げた。ただ、経済がさらに悪化したのではなく、ブラジル地理統計資料院(IBGE)のGDP計算方式が変更されたことを考慮して予想数値を下げたものだ、とコメントをつけている。また、第4四半期から2004年にかけて強い経済回復が起こるだろうと、政府の予想に合わせた見通しを発表した。しかし、政府内の楽観主義者でも、2003年のGDPは0.2~0.6%の成長にとどまるだろうと、予想を下方修正し、悲観主義者はゼロ、あるいはマイナス成長予想に変えた。銀行やコンサルタント会社でもこれまでの0.5%前後の予想をゼロ近くへ下げている。

内国農業連合会では2003年に農畜産のGDPを18.6%成長と仮計算を発表し、もし農畜産の高度成長がなかったならば、国家のGDPは-2%になっていたと推測した。GDPの予想が、さらに下がったことによって、景気浮揚政策を採用させようとする労働党の政治圧力と、2003年12月に年利165%となっている標準金利を引き下げるよう要求する財界からの圧力がさらに強まっている。パロッシ蔵相も閣僚会議で、経済が好結果を出し始めるのは2004年5月以降であろうと話している。

エコノミストの計算では2003年がゼロ成長とならないためには、2003年第4四半期にGDPは前期比で最低24%成長する必要がある。しかし24%という成長は、現状では非常に高率である。2003年の年末個人消費が非常に弱い予想のなかで、しかも生産投資が停止していては、経済活動を振興する原動力が不足する。また、就労者の収入低下が2003年中続いたために、年末に見え始めた消費回復傾向が、クリスマス以降も続行する予想はない。

2004年上半期間では、経済回復は起こらないとみるような悲観的予想が一般的となったために、政府は「もう最悪時期は過ぎて、回復期に入った」とする予想を盛んに出し始めた。2003年が低迷したために、2004年のGDPは数値上では成長するという予想は、どのエコノミストも同じく持っている。

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