労働市場も回復基調へ
アジア経済危機以前の水準には及ばないものの、景気の拡大を背景に、シンガポールの労働市場が急速な回復を見せている。10月5日付ストレーツ・タイムズが伝えたところによると、人材コンサルティング会社が企業500社を対象に行った最近の調査で、回答企業の43%以上が求人の意向を示しているという。景気の回復を受けた企業の雇用意欲の高まりが背景にある。雇用に最も意欲的な業種は、ITなど情報技術関連と通信分野。52%が第4四半期に人手を増やす計画という。銀行など金融業も40%が雇用に積極的であるなど意欲的。また、職種別に見ると営業職の求人が全業種を通じて最も多く、求人全体の28%を占めている。
同社の分析によると、労働市場は過去3年間で最高水準の売り手市場になっており、この傾向は少なくとも年内いっぱいは続くとみている。この傾向を受け、専門技術職では、従来相場の5割増しの賃金を希望する求職者もいるという。また、失業率についても現行4.5%の失業率が、来年には4%以下にまで改善すると予測している。
また、政府人材開発省も「雇用は増加しており、第3四半期の失業率は低下が期待できる」との見通しを示した。国内総生産(GDP)成長率は、3四半期は7.7%に減速したが、雇用は顕著に増加しており、現在4.5%の失業率は年末には4%かそれ以下への低下もありうると予想。また、原油価格高騰が雇用市場に与える影響に関しては、雇用は景気に遅れて反映されるので年内に影響が出ることはないとの見解を示している。
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