労働市場の動向

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2004年10月

7月1日、労働市場委員会(AMS)は、2004年及び2005年の労働市場予測に関する報告書を発表した。それによると、好調な経済状況を反映して、来年は雇用情勢の改善が見込まれるが、改善の速度は遅々としており、2004年は高い失業率が持続し、2005年になってようやく失業率は低下する、と予測している。

労働市場委員会(AMS)は、スウェーデン経済が、輸出、資本投資、民間消費支出の好調に支えられ、2004年2.7%、2005年は2.8%の経済成長を持続すると予測している。

好調な経済状況は、徐々に労働市場にも波及し始め、失業率は、2003年の4.9%から2004年には5.6%に増加するが、2005年には5.1%まで低下する。

失業者数と積極的労働市場政策プログラムの参加者数を合計した不均衡の数字による総失業率は、2003年の6.9%から2004年に7.9%へ増加した後、2005年には7.2%まで低下する。雇用者数は、2004年に1万2000人減少するが、2005年には2万3000人増加すると予想している。

ヨーラン・パーション首相は、8月初め、失業情勢に関し、現状は許容しがたく、積極的労働市場政策により多くの資源を投入すべきであり、地方政府は、少なくとも職員の雇用を維持し、さらに多くを採用できるくらいの補助金を手にするであろう、と述べた。しかし、労働経済学者らは、現在好況を呈している輸出産業の経営者にとって、余剰労働力を魅力あるものとするため、積極的労働市場政策への投資を、1年以上前に開始すべきであったとし、首相の後手に回っている雇用政策を批判した。

実際労働省は、昨年初めに積極的労働市場政策の拡充を計画したが、雇用情勢は今年初めに自然と好転するであろうと考える政府の財務担当専門家によって阻止された。皮肉なことに労働組合側もこれを容認した。スウェーデン労働組合総連合(LO)は今年8月になってようやく労働大臣に宛てた手紙で積極的労働市場政策の拡充を要請した。

一般的にスウェーデンの福祉モデルにおいては、構造変化が期待され奨励されている場合には、完全雇用の時期においても、労働力人口の3%程度までは、積極的雇用政策により雇用創出を行うべきであるとされている。現在労働力人口の2%に当る8万人が積極的労働市場政策に参加している。LOは、2005年中にこれを15万人まで増やすよう要求している。

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