MTUC、組合非承認に抗議してILOに不服申立
マレーシア労働組合会議(MTUC)は9月、政府が一部の部門に対して労働組合を結成することを認めないことに抗議して、国際労働機関(ILO)に不服申立を行った。これに対し政府は、事実無根だとしてMTUCの今回の行動に遺憾の意を表明した。
MTUCのラジャセカラン書記長によると、マレーシアはILOメンバー国であり、政府は結社の自由を定めたILO条約第87号を1998年に批准したにもかかわらず、10万人の労働者がいる電子産業に関しては、産別組合の結成を未だに認めていない。政府は現在、同産業に対しては企業別組合だけしか認めておらず、産別組合については過去30年間にわたって認めてこなかった(注1)。
そこで今回MTUCは、マレーシア政府は労組結成に制限を課し続け、労働者の権利を侵害しているとの不服申立をILOに行った。不服申立の本文は5ページだが、それを裏づけるケーススタディーについては100ページにも及んでいる。
これに対しフォン人的資源大臣は、実際の状況はMTUCの主張とは正反対で、政府はむしろ労組の結成を奨励しており、事実、組織率は12%と国際水準を上回っていると反論すると同時に、MTUCの今回の行動に遺憾の意を表明した。
また電子産業には企業別組合しか認めていないことに関しては、他の多くの国でも同産業は産別組合を持たず、産業によって事情は異なるとの認識を示した。
注
- 政府は、1970年代に入り経済発展戦略をそれまでの輸入代替型から輸出志向型へと転換するに当たり、外資導入策を採用し、これを促進するため労働関係面では組合結成を禁止するなどの優遇措置を外資に認めた。1970年にアメリカ資本が最初に進出してきた電子産業では、マレーシア電機産業組合が電子産業での組織化に乗り出したが、両産業は労働組合法が組織化を認めている「同種の産業」には該当しないとの理由で、最終的に最高裁判所でも組合の主張は認められなかった。組合を嫌うアメリカ企業などの外資の進出が阻まれるのを恐れたためだ。
- しかし、こうした政府の対応に内外の労働団体から批判が寄せられ、またアメリカにおける一般特恵関税制度の適用除外問題もからんで、政府は1988年、電子産業で企業別組合に限っての組織化を認めるに至った。
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