労働大臣、妊娠・育児中の労働者の雇用保障に強い関心

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2003年10月

元LO副会長のハンス・カールソン労働大臣は、3党による予算上の合意を受けて、傷病手当を2003年7月1日から削減する法案に署名しなければならなかった。医療保険給付の所得上限の引き上げは撤回されたうえ、傷病手当の給付水準を所得の80%から78%に引き下げることになった。失業手当を受給している失業者は、病気になっても傷病手当を併せて受給することが認められないこととなり、以前に高所得を得ていた病気の失業者にとっては、非常に大きな所得減となる。失業手当の所得上限は1万8000クローネ(注1)で、傷病手当の給付水準は1カ月の所得2万4000クローネまでは所得に基づいて算定される。

カールソン労働大臣は、傷病手当や失業給付を削減することにより就労意欲を高めようとする政策に、反対している。ところが、3党の合意によって労働大臣の決断は覆されてしまった。同労相は、景気回復後直ちに以前の給付水準に戻すと約束するとともに、新たな改革を導入しようとしている。

労働組合や研究者が警鐘を鳴らしていることだが、労働大臣は、妊娠中や育児休業中の従業員に対し、使用者がしばしば解雇通告を与えていることに関心を示している。このようにして使用者は、労働者に賃金を支払う代わりに、労働者から育児給付を奪っている。

議会の夏休み終了後、労相は、新たな法案を提出予定である。この法案は、実質的に、労働者が妊娠と育児休暇期間を終えて職場復帰するまでは、解雇通告期間が始まってはならないという内容を持つ。この改革は、妊娠中あるいは育児休暇取得中の労働者に対するいかなる差別もないように保証するものである。

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