欧州憲法草案、欧州理事会に提出される

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  • 国別労働トピック:2003年10月

2003年6月にギリシャのテッサロニキで開催された欧州理事会に、欧州憲法草案が提出された。

欧州憲法草案は、ジスカールデスタン元フランス大統領が議長を務める欧州将来像協議会により作成されたもので、これを受けて欧州理事会は2003年10月に政府間協議を開始し、2004年5月1日以降の早い時期の調印を求めるとした。

欧州憲法草案の内容

欧州憲法草案は、現行の多くの条約を簡素化し、再編することを目的とする。その内容は主に3部からなり、第1部はEUの目的や権限、そして組織体制の改革を扱い、第2部はEU基本権憲章を欧州憲法に組み入れ、第3部はEUの政策や役割を明らかにしている。

今回の草案の目玉といわれているのは大統領ポストと外相ポストの新設であるが、ここでは主に雇用・社会政策分野にかかわるものを取り上げる。

まず第1部では、EU設立の理念や目的が掲げられ、次いで各機関の権限や構成などが定められている。特にソーシャル・パートナーについては、47条でEUがEUレベルでのソーシャル・パートナーの役割を承認し、促進するとともに、ソーシャル・パートナー間の対話を援助するといった条文が設けられている。

第2部は基本権憲章を組み入れた部分である。基本権憲章は2000年に公布されたものの、EU条約には包括されず、法的な地位が与えられていなかった。欧州憲法に組み込まれることで、基本権憲章は法的拘束力を得ることができる。基本権憲章は、強制労働の禁止や男女平等、職業選択の自由、結社の自由、団体交渉権・団体行動権の保障、児童労働の禁止などEU市民が享受できる幅広い権利や自由を定めている。

第3部は前述のようにEUの政策や機能を定める部分であり、労働者の自由移動の項が設けられるとともに第3章第1節で「雇用」が、第2節で「社会政策」が取り上げられている。

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