労組の職場安全委員数が3年間で27%増

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年8月

病気欠勤が増加しているため、使用者、労組双方が労働環境への懸念を深めている。こうした中、職場安全委員の数が急増しており、労組の選挙で職場安全委員のポストを希望する人々が増加している。新しい情報によれば、職場安全委員の数は3年間で2万人増加し、10万7000人になった。これは27%の増加に相当し、従業員1万人当たり257人の職場安全委員がいることを意味する。最大の増加が生じているのは専門職と学術部門である。大卒専門技術労働者労組組合(SACO)が、28%という過去3年間での最大の増加を示している。これは、効率重視の管理を続けた結果、耐え難いストレスや病気欠勤が急増し、そのことに対する不満が噴出した結果であろう。

健康上危険と見なされる仕事を中止させることができる、新たな権限や新たな教育支援を職場安全委員に与えた1970年代の新しい労働安全衛生法制定など、労働法の大改革がスウェーデン労働市場で行われた頃には、職場安全委員の数は15万人近くあった。ところが1990年代には、職場安全委員の任務が敬遠された。その原因は、新人の職場安全委員への教育や、コンピュータ化された新たな職場における疾病に対処するための専門的訓練を対象とした政府補助の削減である。また、当時の労働組合にとっては雇用保障が最優先で労働安全衛生は二の次であった。

現在職場安全委員の数が増加しているのは、不況の期間中、熱意をほとんど持てずに辞めた元職場安全委員が、今になって復帰してきているためと見られる。現在の職場安全委員の25%が55才を超えている一方、25才未満は2%に満たない。職場安全委員の3分の1が45才から54才までの者である。

1997年から1999年までは、職場安全委員の5人に1人がその任務から去ったが、その大部分は小規模の職場で働いていた。法律では従業員5人以上の職場では必ず職場安全委員を1人置かなければならないが、1999年末には小規模の職場5ヵ所に1ヵ所しか職場安全委員を置いていなかった。

今後政府は、病気欠勤を減らすことを大きな目標にかかげており、その一環として職場安全委員の教育に新たな予算を割り当てている。職場安全委員は常勤の仕事として労働組合が募集し、小規模職場の安全衛生状態を監督し、約500人の労働安全衛生監督官の目や耳の役割を務める。

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