南部ミンダナオ地方、テロと失業
南部ミンダナオ地方は、アブサヤフなどのテロ組織との闘争による治安の悪化が、企業活動に悪影響を与え、経済成長力が鈍り、政府職員でさえ例外ではなくなってきている。
1.タバオ市の臨時雇用の市職員も解雇
ロドリゴ・ドュターツ市長は、2003年4月25日、テロ対策の財源の捻出と企業の経営悪化による税収不足から、2003年3月だけでも700人の契約雇用の職員を解雇したことを明らかにした。ドュターツ市長は、今後ダバオ市が緊急課題としている、犯罪撲滅、爆弾テロの被害者及び家族の救済、警備員、警備に強力している市民ボランティアへの必要経費に対する財源捻出のために、更に契約雇用の職員を解雇せざるをえないと述べた。
ダバオ市財政当局によると、ダバオ市は、アロヨ大統領が、爆弾テロから国民を守るために設立した特別部隊の光熱水費などの必要経費に毎月約600万ペソを支出している。特殊部隊は、市内の25の危険地域の設営しているが、その賃金は、国家負担だが、必要経費の一部は地元負担になっている。更に、4月以降特別部隊の人員が1200人に増員される見込みで、地元負担経費も大幅に増額される見込みである。
ドュターツ市長によると、2003年中に、ダバオ市の治安維持事業に関する総費用は、1億4100万ペソに達する見込みで、市議会に、8340万ペソの追加予算を準備している。
2.治安維持も経済復興も米国の援助頼み
こうした、財政事情の中で、アロヨ大統領は、2003年5月27日、米国政府が、フィリピンのテロ撲滅に対し3億5600万ドルの援助を決定したことを明らかにした。これは、1992年に米軍が、スービック、クラーク両基地から撤退して以来最大の援助である。これには、アロヨ大統領が、イラク戦争において、米英軍支持を早期に打ち出したことが大きく寄与していると見られている。
フィリピン中央政府と治安悪化している地域の地方都市は、テロ撲滅に対する財政負担が軽減され、地域産業の新興事業や労働者の各種技能研修事業が拡充されるのではないかと期待している。また、今後は、米軍や特別部隊に対する様々なサービス分野での雇用が増加されることを希望している。
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