労働協約改定の動き

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

アメリカの記事一覧

  • 国別労働トピック:2003年7月

今年、主要産業で相次いで団体協約の改定が行われる。

鉄鋼産業では、全米鉄鋼労組(USWA)は、4月9日、USスチール社との5年の暫定協約に合意したが、これはUSスチール社とナショナル・スティール社双方の労働者を対象としたものである。トーマス・ウシャー会長のコメントによると、USスチール社は倒産したナショナル・スチール社の買収に積極的に乗り出す方針である。協約交渉の中心は退職者への健康保険の適用をめぐる問題になる模様。ゴム・タイヤ産業では、4月19日に期限切れを迎える協約の改定にむけ、交渉が始められているが、グッドイヤー社をターゲット企業に選定した。今回の焦点は、厳しい経営環境の中でのリストラ、2000年協約で合意したストックオプションの見直し、2002年以来要求し続けている労働者医療保険のあり方など。

一方、自動車産業では、今夏の協約改定に向け、全米自動車労組(UAW)がビッグスリーとの話し合いを始めた。この新しい協約の内容は、今後数年間の景気動向に影響する。もっとも大きな問題は雇用の確保と医療保険の問題。特にジェネラルモータース社は、医療保険について、ダイムラー・クライスラー社とフォード社は、労働者のレイオフ、工場の閉鎖・統合に関心を寄せている。電機産業では、国際電機通信労組(IUE-CWA)がゼネラル・エレクトリック(GE)社との交渉を5月から開始する。ファイヤーIUE-CWA会長は、4月22日、30年勤続退職者への年金制度の導入を打ち出す方針であることを明らかにした。

今回の協約改定では、大企業を中心にいずれの主要産業においても、厳しい雇用情勢にどのように対応するかということと、労働者の医療費負担増をめぐる交渉と企業年金の行く方が焦点となっている。

なお、主要企業における今後の協約改定のスケジュールは以下のとおりとなっている。

企業名 業種 組合 従業員数
General Motors 自動車 UAW 125,000 9月
Ford Motor 自動車 UAW 100,000 9月
Daimer Chrysler 自動車 UAW 63,850 9月
Verizon Communications 通信 CWA/UE 72,000 8月
Radio Recorded Commercials Contract 放送 AFtrA 80,000 10月
General Merchandise Agreement 小売 UFCW 80,000 10月
trucking Management 運輸 Teamsters 65,000 3月
Delphi Automotive 自動車部品 UAW/UE 33,954 9月
Alliance of Motion Picture and Television Producers 放送 SAG 37,000 7月
General Electric 総合 IUE-CWA/UE 28,200 6月

(K.Yamazaki作成)

2003年7月 アメリカの記事一覧

関連情報