インフレ上昇、消費者の信用指数低下

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年6月

雇用拡大、給料の購買力維持に取って障害となる経済活動の後退と、インフレの上昇が顕著となってきた。ブラジル地理統計資料院(IBGE)の発表では2002年のGDPは1.52の成長となっており、2003年もこれと大差ない予想となっている。エコノミスト達が「ブラジルでは年間5%以上の成長を連続して長期間達成した時に雇用増加が起こる」と予想している状態からすると、当分雇用市場に期待は持てない。雇用市場の不振の上に、イラク戦争に対する不安が重なって、消費者は消費に慎重になっており、企業は生産投資にもブレーキをかけ始めた。イラク戦争はブラジルのように国家財政から産業活動の維持まで外国に依存する度合いが強い国に強い影響を与えることを国民は知っており、これがまた失業増加に繋がると見ている。例えばサンパウロ州商業連盟が03年3月に行った調査によると、買い物を控える理由として失業の心配を挙げた21.07%は、3月には26.67%へ増加した。サンパウロ州商業連盟では、消費者が買い物を決める段階で、失業に対する不安が非常に重大な比重を占めるようになったとコメントした。また2月3月供に48%の消費者が、クレジットに依存する財の購入はしないと回答しており、03年に入ってから政府が1~2月と続けて標準金利を引上げた結果が重なっている。これによってサンパウロ州内では商業の03年1~2月のクレジット販売は前年同期比で5.01%低下した。イラク戦争の推移を恐れて消費を抑えると指摘した回答は2月の10.13%が、3月は14.6%へ増加した。

労組では過去のインフレと、今後の上昇予想により、給料生活者の実質購買力が減少することに憂慮を表明している。企画省応用経済研究所では02年半ばに03年の公式インフレを4.4%、02年末には9%予想へ修正していたものを、3月は12.6%予想に再度引上げた。この高いインフレが経済成長を阻止すると予想している。政府はまだ03年のGDPを2.8%成長予想のままにしているが、サンパウロ商業協会の調査によると、2002年も商業に対する月賦の支払い不能の最大原因は、失業となっている。

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