給料の実質維持は54.7%だけ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年6月

中央労組の研究機関であるDIEESEは、2002年中に全国で締結された労使交渉499件を分析した結果、54.7%のみが政府の公式インフレである内国消費者物価指数によるインフレ並、あるいはそれ以上の実質調整が行われたと発表した。

01年は64%、02年は1997年のは55%であった。02年後半は大統領選を巡る投機が盛んになり、急激にインフレが進んだ結果、年末に近付くにつれて、給料の実質低下が大きくなったことが、インフレ並の実質調整を得られない労組を増加させた。また業種別にインフレに満たない調整率を見ると、サービスは69%、工業は65%、商業は63%となっている。さらに銀行や石油労組のように、全国共闘を実施していた業種まで02年は全国統一交渉が出来なくなり地域別の交渉になって、交渉力を失っている。この調査を行った研究者達は、03年の労使交渉も労働者にとって、02年並に非常に困難な年になると予想した。03年に入ってインフレはおさまりつつあるとは言え、まだ高い水準を維持しており、03年は12%のインフレとの予想もある。DIEESEでは、労組指導者にとって、03年は厳しい労使交渉の上に、政府が提案している社会保障制度や、労働法の改革案の討議にも参加する必要があり、多忙な年になると予想している。またDIEESEは03年1月にサンパウロ首都圏の就労者の平均実質所得が、02年1月比で8.8%低下し、1985年に同研究所がこの調査を開始して以来の最低水準に下がったと発表した。1985年以来に限定すると実質48.9%、給料生活者だけを抜き出すと48.6%の低下になると計算している。

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