欧州委員会、欧州医療保険カード導入に関する具体策を提示

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年5月

2002年3月のバルセロナ欧州理事会は、加盟各国の社会保障制度の調和という枠組みの中で欧州医療保険カードの導入を決定した。これを受けて欧州委員会は、医療保険カード導入に必要とされる手続きなどを検討したコミュニケを2003年2月に提示した。

コミュニケの内容

そもそも欧州医療保険カードは、人の自由移動に対する障害を除去するための政策の一環として導入が決定された。現在、観光や就労などのために加盟国に一時滞在する場合、現地で医療サービスを受けるためには様々な形態の文書の持参が必要となる。欧州医療保険カードは、移動を考慮し世帯単位でなく個人単位で発行され、加盟国であればこれ1枚でどの国でも医療サービスを受けることができるというもの。

コミュニケによると、医療保険カードへの移行は3段階に分けて行われる。まず2002年から2003年にかけては、加盟各国との協議に並行して法的・技術的調整を行う。そしてカードへの移行は2004年6月から始められるが、当初は短期滞在のみを対象とし、その後それ以外の一時的滞在すべてに拡大する。最終段階としてコンピュータで読みとり可能なスマートカードを導入する。現時点でスマートカードを利用している加盟国もあるが、利用されている技術の違いなどのためにスマートカードの導入は最終段階に先延ばしされた。

コミュニケでは、これ以外にカードに記載すべき情報なども検討されている。

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