労組による非組合員に対する交渉料金請求をめぐって
労組が団交により賃上げを獲得した場合には、非組合員が労組に「交渉料」を支払うことを義務づけるよう以前よりいくつかの労働組合は、運動を展開してきた。労組によれば、これにより組合費を支払うことなく利益を得るフリーライダーをなくすことができるということであった。この問題に関し、連邦裁判所と連邦労使関係委員会(AIRC)が相反する判断を示したことから、混乱が生じている。
連邦裁判所とAIRCの判断
連邦裁判所は2002年6月にある事件において間接的ながら交渉料を適法と認める判決を下した。この事件において、労組は企業別協定(認証協定)の中に賃上げ獲得後非組合員に料金を課す旨の条項を設けるよう使用者に求めていたが、連邦裁判所は労組がこうした要求を掲げストライキを行うことを合法と認めたのである。使用者は連邦最高裁に上訴したが、最高裁がこの問題を審理するかどうかは未だに明らかとなっていない。使用者側は、こうした方法が組合加入を強制する不正な手段であり、職場関係法の結社の自由規定に反すると主張している。こうした主張ももっともである。というのは、提案されている交渉料のいくつかは年間組合費よりも高く、従って労組に加入する方が安くあがるためである。しかし一方で、組合費は毎年徴収されるが、交渉料は企業別協定改訂後であるのでおそらく3年ごとに徴収されることとなろう。
ところが2003年1月になって連邦労使関係委員会(AIRC)は、これを覆す判断を示した(ただ、連邦裁判所は司法機関としてAIRCよりも上位に位置づけられる)。連邦裁判所は交渉料を適法と判断したのに対し、AIRCはこれを認めず、このような条項を定めた企業別協定は受け入れられないと判断した。この決定は、企業別協定、ひいてはその交渉の範囲を非常に限定的に解釈したものであり、連邦政府の改革路線に沿った姿勢といえる。
AIRCの決定後、労組は最高裁に上訴する方針を明らかにした。仮にAIRCの解釈が受け入れられると、AIRCがすでに承認した既存の企業別協定の適法性も問題となり得る。混乱した状況を立法により解決すべきとの動きもあるが、AIRCの解釈を支持する法案は上院で退けられてしまったので、残る方法は最高裁の判決となる。
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