欧州委員会、新たな欧州雇用戦略の概要を提示

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年4月

欧州委員会は、2003年1月に新たな欧州雇用戦略の概要を示した。文書は、2002年月に示されたコミュニケをフォローアップするもので、3月開催予定の欧州理事会に提出する。欧州委員会は、欧州理事会での議論をふまえ4月にも新たな雇用ガイドラインと勧告を正式に提案する予定である。

文書の背景と内容

2002年月に示されたコミュニケは欧州雇用戦略の5年間の成果と今後のあり方をまとめたもの。関係者はこれを基に議論を続け、新たな課題に対応するためにも欧州雇用戦略を改訂することで合意した。

今回の文書は、新たな雇用戦略の概要を示すことで加盟国や欧州議会、ソーシャル・パートナー等に議論のたたき台を提供する目的を持っている。

文書は、欧州労働市場の現状を分析した上で新たな課題として労働力の高齢化・労働力人口の長期的減少、グローバル化・知識社会への移行、労働生活の複雑化等を挙げ、今後の雇用戦略がこれまでの目標を堅持しながらこうした課題に対応しなければならないと方針を示している。

雇用戦略の具体的内容として、3つの包括的目標とその実施方法、優先課題、ソーシャル・パートナーの役割等を提案している。3つの包括的目標には、完全雇用、労働の質と生産性の向上、雇用機会均等のための社会的包括強化が掲げられている。欧州委員会は、この3つの目標を達成するために、優先事項を設定するよう求めている。優先事項は、失業に対する予防的・積極的アプローチ、起業の奨励、移民、男女平等、人的資源への投資と生涯学習などを含む11の事項が検討されている。

文書は、最後に職業紹介機関や労働基準監督官などサービス提供機関のあり方やソーシャル・パートナーの積極的参加を求めている。

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