児童労働、やや増加
政府は、ILOの協力をえて実施した児童労働実態調査結果を発表した。その結果、5歳から17歳までの児童・生徒の24万9000人の内の400万人、16.2%が、何らかの労働に従事していることが明らかになった。これは、1995年の調査結果の16%よりやや上昇した。政府が、児童労働の減少を目指し、様々な対策を実施してきたにもかかわらず、相変わらず改善されていないことが判明した。
1.地域別就労状況
最も児童の就労率の高い南部タガログ地方で、46万1000人(11.5%)、中部ビサヤ地方が38万8000人(9.7%)、東部ビサヤ地方が34万9000人(8.7%)である。これらの地域では、1995年の比較し、大幅に児童の就労率が増加した。
2.雇用状況
児童労働者は、主に14歳以上の男子で、労働の特徴を挙げてみると、技術のいらない労働をしているのが、260万人(65%)、農林水産業に従事しているのが210万人(53.3%)、無報酬の就労をしている児童が240万人(58.8%)である。児童労働者の多くは、季節的な労働か、休暇期間に就労している。一方、4人に1人の児童労働者が、常勤の雇用形態で働いている。
労働時間は、1日、1時間から4時間である。児童労働者の約半分が、1週間に平均2日間就労する。都市の児童労働者は、1週間に平均3日就労する場合が多く、一方、地方の児童労働者は、平均1日就労する。
3.労働環境と精神的ストレス
労働環境を見てみると、240万人(59.4%)が、悪い労働条件下で就労し、彼らの70%が、劣悪な労働条件で就労している。肉体的な重労働をしている児童労働者の比率は、5.5%で、これは、前回の10%と比較すると大幅に減少した。
240万人(61%)の児童労働者は、就労において道具を使用し、ボロ(注1)や一般のナイフを使用している。この内、何らかの安全指導がなされているのは3分の1である。しかし、これらの児童の44.6%が、精神的にも、肉体的にもあまりストレスを感じないと答えている。多くの児童労働者は、労働が退屈だとは感じておらず、この傾向は、都市の方が高い。
ただし、調査によると、5人に1人が、彼らの仕事が、危険なものであると感じると答え、4人に1人が就労時に負傷した経験があると回答している。負傷経験は、農林水産業に従事する児童労働者の方が高く、10人の内7人までが、何らかの負傷を経験があると回答している。
4.学業への影響
児童労働者の内、10人に7人までが、学校に通学しているが、120万人(44.8%)が、学業に追いつけないなどの問題を感じていると回答し、5人に1人が中途退学をしている。児童労働者の内、92.3%が自由時間を楽しむこともあると答え、自由時間の多くは、友人と遊ぶ時間に当てている。
5歳から17歳 までの児童 |
5歳から9歳 までの児童 |
10歳から14歳 までの児童 |
15歳から17歳 までの児童 |
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1995年 | 2001年 | 1995年 | 2001年 | 1995年 | 2001年 | 1995年 | 2001年 | |
就労児童 | 3,577 | 4,018 | 215 | 246 | 1,600 | 1,934 | 1,762 | 1,837 |
非就労児童 | 18,804 | 20,833 | 8,468 | 9,421 | 7,222 | 8,273 | 3,115 | 3,139 |
計 | 22,382 | 24,851 | 8,682 | 9,667 | 8,822 | 10,272 | 4,877 | 4,976 |
性別 | ||||||||
男子 | 11,523 | 12,830 | 4,476 | 4,995 | 4,508 | 5,277 | 2,539 | 2,558 |
就労児童 | 2,330 | 2,548 | 135 | 144 | 1,023 | 1,234 | 1,172 | 1,170 |
非就労児童 | 9,194 | 10,283 | 4,340 | 4,851 | 3,486 | 4,044 | 1,368 | 1,388 |
女子 | 10,858 | 12,021 | 4,207 | 4,673 | 4,314 | 4,930 | 2,338 | 2,418 |
就労児童 | 1,248 | 1,470 | 79 | 102 | 578 | 700 | 591 | 667 |
非就労児童 | 9,611 | 10,550 | 4,127 | 4,570 | 3,736 | 4,230 | 1,747 | 1,751 |
注:過去12カ月の期間は、1995年が1994年の7月1日から1995年の6月30日、2001年が、2000年10月1日から2001年9月30日。
出所:国家統計局の児童労働調査
注
- フィリピンで多用される大型で片刃のナイフ。(本文へ)
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