ソーシャル・パートナーが共同作業プログラムを提示

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年3月

ソーシャル・ダイアログ(欧州労使対話)サミットは2002年11月に開催され、EU加盟候補国の代表を含めて100を超えるソーシャル・パートナーが参加した。その席上EUレベルのソーシャル・パートナーは2003年から2005年にかけての共同作業プログラムを提示した。ソーシャル・パートナーは、2001年の欧州サミットにおいてより自立した労使対話を達成するために共同作業プログラムを作成する意向を表明していた。欧州委員会もこうした動きを奨励している。

共同作業プログラムの内容

共同作業プログラムは、3つの優先事項に分けて2005年末までにソーシャル・パートナーが取るべき行動を示している。3つの優先事項とは、雇用、EU拡大、人の自由移動である。

まず雇用については12の課題が立てられ、各課題ごとにどのような行動をとるのかが示されている。具体的には、1.職場におけるストレスや嫌がらせ・いじめといった問題に対処するための協定締結を目的にセミナーを開催する、2.雇用平等と性差別については枠組み行動を決定するためのセミナーを開催する、3.人種差別と障害者差別に関しては各々の共同宣言を改訂する、4.若年者については、共同宣言や広報活動などを通じ科学技術への関心を高める、5.生涯学習とテレワークに関しては、その枠組み行動・枠組み協定の追跡調査を行う、6.労働力の高齢化に関しては、事例研究と共同行動の可能性を探るためのセミナーを開催する、等の予定が示されている。

次にEU拡大の部分では6つの課題が立てられている。たとえば1.EU拡大に関連して労使関係に関する共同セミナーを開催する、2.EU拡大以後に発生するであろう問題を予想し確認する作業を2004年より開始する、3.拡大ソーシャル・ダイアログ委員会を年2回開催する、といった内容となっている。

第3に人の自由移動については、補完的年金問題を含めた人の自由移動に対する障害を解消するために、どのような共同行動がとれるのかを検討することが課題とされている。

今回の共同作業プログラムは、この種のものとしては初めてのものであり、ソーシャル・ダイアログにとって新たな展開となるとして関係者からは概ね歓迎されている。

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