GMの大宇自動買収に関する本契約終結を前に労使交渉妥結

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

韓国の記事一覧

  • 国別労働トピック:2002年6月

GMの大宇自動車買収に関する本契約の締結に向けた交渉が大詰めを迎えるなかで、その前提条件となる労働協約改訂などを含む団体交渉が4月9日、約4カ月ぶりにようやく妥結し、暫定合意案は4月16日に行われた組合員投票で69.4%(8234人のうち5711人)の賛成で可決された。

その主な内容は次の通りである。第一に、労働協約の126項目のうち30項目を改訂する。特にGMが経営・人事権を侵害する条項としてその改訂を求めた、「合併・譲渡・資産の移転など組合員の雇用に影響を与える経営上の主要事項」について「労使間の合意」を義務付ける条項を「労使間の協議」に改訂したことが注目される。

第二に、新設法人は雇用及び改訂された労働協約を承継し、整理解雇者300人を2002年末まで復職させ、残りは2004年末まで人員の補充が必要な場合優先的に再雇用するよう努める(労組によると、2001年に整理解雇された1750人のうち再就職できず失業状態にあるのは350人余)。雇用承継をめぐっては当初GM側が労働協約上の「5年間の雇用保障条項」を削除するよう求めていたが、それが最大のネックとなって、労使交渉が難航していたため、GM側は買収交渉の早期妥結を図るために、雇用承継条項を本契約に盛り込むことを了承したことが突破口になったようである。

第三に、ボーナスの未払い分(2.5カ月分)については債権銀行団と協議し、できるだけ早く支給されるよう努めるが、自助努力の一環として来月支給予定のボーナスのうち、0.5カ月分を削減する。

そして本契約の主な合意内容のうち、もうひとつ注目されるのは大宇自動車の主力工場でありながら、買収対象から外されていたブピョン工場の買収条件が具体的に示されたことである。つまり、次のような条件が満たされれば3カ月以内にブピョン工場を新設法人に吸収・統合するというものである。第一に、新設法人の工場が完全2交替制で稼動し、ブピョン工場も6カ月連続完全2交替制で稼動する。第二に、統合前6カ月間の品質水準がGMの世界平均点数を上回り、世界規準の競争力(毎年4%以上の生産性向上)を確保する。第三に、労働争議による年間損失日数がGMの全世界工場の2001年平均(5日)と同じかそれを下回る。

このような条件のうち、「労働争議による年間損失日数の制限」について労組は早くも「憲法に保障されている争議権を侵害するものである」と反発している。しかしGMは買収の条件として収益性向上と労使関係の安定を重視しているだけに、雇用保障を優先する労組にとってはその条件を満たすのに協力するしかほかに方法がないのも事実である。労組にとって選択の幅はそれほど残されていないのである。

4月30日にGMの大宇自動車買収に関する本契約が締結された。

2002年6月 韓国の記事一覧

関連情報