IT不況の影響で技術訓練校も事業計画を見直し

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年11月

米国のIT(情報技術)不況と同時多発テロの影響で、IT技術者の需要減が予想される中で、インド国内のIT訓練校は事業計画の変更を迫られている。

IT訓練校は、3年間のコースで少なくとも6万5000ルピーの経費が必要になる。ソフトウェア市場の成長率が急速に減退し始めたため、新規の受講者は、IT訓練校に通学すべきかどうか再考し始めている。このような情勢は、今後中央・地方政府のIT戦略を変更させうるものと予想される。

あるエコノミストは、約100億ルピーのIT教育市場は、過去5年間で年率40%を越える急速な成長を成し遂げたが、2001年の成長幅は最高でも20%だと予測している。

全国展開しているIT訓練校、アプテックの2001年第1四半期のIT再教育コースの経営実績は、前年比マイナス10%にダウンした。その結果、カリキュラムを再構成し、授業の重点を需要の落ち込んだソフトウェア言語教育の訓練から最新のソフトウェアの技術教育に変更した。

アプテックは、特に世界的にIT技術者への求人が減少してきているJavaコースのソフトウェアプログラマーの養成を重点にするのを取り止め、代わりに、求人増が予想されるマイクロソフト関連のネット技術者を養成するコースを増設した。

一方、インド最大のIT訓練校、NIITは、米国のIT不況の影響を受けていることは認めたものの、入校者が減少していることは認めていない。NIITは、現在2つの事業改革により入校者の減少を食い止めようと計画している。1つは講義のレベルを上げること、もう1つは、IT訓練校を全国的に展開し地方都市の受講者を開拓することである。NIITは、2000年に全国に2000校のIT訓練校を設立したが、2001年はさらに1000校設立することを計画している。

また、ジインテラクテブラーニングシステム校(ZILS)は、就職難を危惧する受講者の心理を緩和する事業を計画し、IT企業の代表者が参加する全国的なセミナーやワークショップを開催し始めた。

他方、小規模なIT訓練校では、危機を乗り切るためにSE等のソフトウェアサービス技術者を養成するコースを重点的に事業展開する訓練校が出現している。

IT訓練校は、今後求人増加が見込まれる地域として特にフィンランドに注目している。フィンランドは人口が550万と少なく、加えて、高齢者の人口が増加している。このため、フィンランド外務省のアメリカ・アジア・オセアニア担当は、今後のIT技術者の不足を他のヨーロッパ各国のように、他国の技術者の雇用によって補充せざる得ないことを最近公表している。

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