政府、景気後退に備え「月間可変賃金」の導入を企業に要請

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年6月

政府は、米経済の景気後退がシンガポールに波及するのに備え、各企業に月間可変賃金の早期導入を呼びかけている。

月間可変賃金(Monthly Variable Component=MVC)は、突然の景気後退に対して企業が人 員削減に訴えずに賃金削減で即応できるよう、月給の一部(最大10%)を可変給とするもの。年末ボーナスの調整で景気後退に対処してきた現行のフレキシブル賃金システムをさらに柔軟にするために、1998年10月に全国労働組合会議(NTUC)が提案し、これを受けて全国賃金評議会(NWC)は1999年、2000年賃金勧告で導入を推奨してきた(本誌1999年8月号、2000年8月号参照)。

ところが、リム・ブーンヘンNTUC書記長兼無任所相によれば、これまでのところMVCを導入した企業はわずか200社にとどまっている。米経済の景気後退がシンガポールに波及してくるのが確実な情勢のなか、雇用の確保を最優先に同書記長はMVCの早期導入を呼びかけた。

また同書記長は、導入が進んでいない理由について、多くの人事担当者がMVCの具体的な導入方法を把握していないことをあげ、その対策として、導入済み企業の実例を公表したり、各種の使用者・業界団体を通じて関連情報を会員企業に提供していくとしている。

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