雇用・社会政策理事会、経済ガイドライン等を議論

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

2000年5月8日、欧州雇用・社会政策理事会(労働・社会問題理事会から名称変更)が開催された。その目的は、3月に開催されたリスボン欧州理事会の決定に従って、欧州の包括的な経済政策ガイドラインの作成について議論することであった。また、欧州雇用・社会政策理事会では、差別禁止に関する欧州委員会の一括法案の進展について議論され、議長国は、人種および民族を理由とする差別禁止に関する指令案が近いうちに採択されるであろうとの楽観論を示した。

経済政策ガイドラインに関する議論では、各加盟国の担当大臣は、リスボン欧州理事会での進展を賞賛し、経済政策と社会政策をリンクさせる一貫性のある戦略を開発する機会を歓迎した。

議論は、欧州委員会において満場一致で採択された雇用委員会の見解に集中した。その見解は、主に次のようなものであった。

  • 財政の再構築
  • 人的資源への投資
  • 生涯学習の促進
  • 職場における女性の比率を増加させること
  • 税制と社会保障制度の改革
  • 雇用保障に関する法制の改革
  • 完全雇用の達成

この見解は、欧州雇用・社会政策理事会が包括的な経済政策ガイドラインの発展に寄与するしっかりとした基礎を提供するであろうと、各加盟国の担当大臣は同意した。

その後、同理事会の議論は、議長国の提起したさらなる3つの問題に移った。その問題とは、(1)包括的な経済政策ガイドラインに関する欧州委員会の勧告とリスボン欧州理事会の決定との間の一貫性を確保すること、(2)労働市場問題に関する包括的な経済政策ガイドラインと欧州雇用戦略の「ルクセンブルク・プロセス」の枠内で加盟国に対し行われた勧告との間の適合性を確保すること、さらに、(3)雇用・社会政策理事会が包括的な経済政策ガイドラインを作成する方法、である。雇用・社会政策理事会は、包括的な経済政策ガイドラインと欧州雇用戦略との間の一貫性の改善を最優先課題とすべきであると結論を下した。

また、同理事会は、包括的経済政策ガイドラインが、(1)完全雇用を達成するための積極的雇用政策の促進、(2)社会的結束の改善および生涯学習の助長に焦点を合わせた措置、を含むべきであるとの要望を示した。

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