より魅力ある職業訓練校にむけて

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年5月

タイ労働問題の専門家の指摘によると、労働社会福祉省の技能訓練局が提供している技術訓練プログラムの参加者が非常に少ないことが問題となっている。このため、技能訓練局は十分な労働市場調査を行って、技能訓練をより効率的に、参加者に魅力のある内容を提供する必要がある、ということが明らかとなった。

1999年においては、職業訓練コースに参加すると1日当たり50バーツの小遣いが支給されるという特典にもかかわらず、2719人しか訓練プログラムに参加しておらず、訓練終了後に行われる資格テストでは、そのうち731人しか合格していないというのが現状となっている。

タイ開発研究所(TDRI)のヨングス・カラエウオンセ氏は、技能訓練局は企業の使用者とより親密な協力関係を築くことによって、使用者側の労働者に求める技能を確認でき、訓練内容も調節することができると述べた。その際に、例えば、中部タイ工業地帯のチョンブリ県と農村地帯のラチャブリ県では、労働者に求める技能は異なることから、訓練内容は県レベルで調整されることが望ましいと指摘した。

同氏は経済回復を確固たるものにするためには、工業部門での技能開発が最も緊急な課題であることを強調し、工業部門に従事する460万人の労働者のうち100万人以上は職場で必要とされる技術水準に達していない現状に危機感を表わした。

そのためにも、今後は訓練計画を新卒者にも提供すること、訓練後のフォローアッププログラムの実施や卒業後の訓練生の評価が必要とされている点も付け足した。

この意見に対し、労働福祉省雇用局のパイローテ・スクサムリット次官は、労働者の間では求職活動に目がいきがちで、訓練制度自体に人気がないのが参加者の少なさの原因であるとし、局側は労働者の支援をする用意はあるが、労働者自身が新しい技術の獲得に向けて努力する姿勢が不可欠であると述べた。

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