技能開発基金の支援した訓練機会、過去最高

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年3月

シンガポール生産性基準局(PSB)の発表によると(1999年11月22日)、1999年に技能開発基金(SDF)が支援した訓練機会は、1998年と比べてすでに6%増加しており、過去最高の56万4375件に達している。またSDFの訓練助成を受けた40歳以上の中高年労働者の数も1997年の約5倍、13万2260人で、やはり過去最高を記録した。

さらに、はじめてSDFの訓練助成に応募した中小企業の数も6%増加し、3228社に及んでいる。

PSBのリー・スーアン・ヒアン最高執行官は、技能・教育水準の低い中高年労働者の訓練機会が急増している要因について、経済危機によって解雇者数が増えたことを受け、SDFが全国労働組合会議(NTUC)などの団体と緊密に協力してSDFの利用を呼びかけたことが功を奏したとしている。

訓練が労働者や使用者に及ぼしているプラスの影響についても報告されている。

1998年にSDFが550社を対象に調査したところ、訓練を受けたことにより労働者の賃金、知識、技能の水準は10~20%、サービスの質は11~20%、製品の質は1~10%、それぞれ改善していることがわかった。

また調査対象企業の6割は、純益が増加するとともに、技能資格を有する従業員のパフォーマンスが改善した結果、コスト削減が可能となった。もっとも、中高年労働者のなかには、知識集約型経済に必要な技能を習得するための基礎を欠いている者も少なくないことも判明した。

リー最高執行官はこうした労働者について、1年前に始動したプログラムを利用すれば、学習を続ける能力や創造的な問題解決能力など、彼らが必要とする7つの基本的な技能の習得が可能だと期待を寄せている。また2000年には、コンピューター化された全国訓練ネットがSDFによって立ち上げられ、公的な訓練プログラムの応募者は即座に承認を得られるようになる。

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