解雇プランテーション労働者への住宅供与、法制化を検討

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年12月

リム人的資源大臣は1999年9月10日、土地を売却したり、商業開発用地に転換するプランテーション所有者に対し、解雇・立退きを余儀なくされる労働者への住宅供与を義務づける「提案」を検討すると発表した。同「提案」は、立ち退き労働者を救済する方策を見出すために先ごろ設置された「プランテーション・鉱業労働者の住宅所有・住み替えに関する全国審議会」(注)の第1回会合で提起された(9月10日)。

リム大臣によると、これまでは、州政府は土地の使用目的の変更申請を承認する際に、プランテーション所有者に解雇労働者への住宅提供を行政手続きとして命じてきた。今回の提案の狙いは、プランテーション労働者の住宅問題を解決する措置として同制度を強化することであり、近く人的資源省主宰の公聴会を開き、長期的措置としてこれを法制化する必要があるか検討する。法制化されれば、およそ1000カ所のプランテーション労働者11万2800人とその家族16万9200人が保護される。

審議会は手始めに、87カ所のプランテーションで立ち退きを余儀なくされた4801人の労働者の救済策を検討する。87プランテーションの内訳は以下の通りである。

  • セランゴール・13プランテーション、1126人
  • ペラク・11プランテーション、214人
  • ネグリ・センビラン・11プランテーション、297人
  • マラッカ・11プランテーション、345人
  • ケランタン・3プランテーション、94人
  • ケダー・10プランテーション、1406人
  • パハン・4プランテーション、383人
  • ジョホール・24プランテーション、936人

政府が今回の決定に踏み切った背景には、プランテーション労働者の立退き問題に対処するため1973年に導入した住宅所有計画が失敗したこともある。同計画のもとでは、78カ所のプランテーションで8171戸の低価格住宅が建設・提供されるにとどまった。問題点として、州当局が請求する高いプレミアムに加え、土地の転換やプランテーションの所有者名義の変更に係る承認の遅延や煩雑な手続きが指摘されている。

なお、州政府は国土法により必要な権限を付与されているため、決定された政策の導入に関して指導的立場に立つことになる。

注・同審議会はリム人的資源大臣が座長をつとめ、州政府人的資源担当官、各省代表、マレーシア使用者連盟、マレーシア労働組合会議、マレーシア・プランテーション統一協会、全国プランテーション労働者組合、マラヤ鉱業使用者協会、全国鉱業労働者組合で構成される。

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