開催報告:第14回北東アジア労働フォーラム(2016年12月2日開催)
高齢化社会と雇用問題:現状と政策課題

概要

労働政策研究・研修機構(JILPT)は2016年12月2日、韓国・済州で、中国労働保障科学研究院(CALSS)・韓国労働研究院(KLI)との共催による第14回北東アジア労働フォーラム(日中韓ワークショップ)を開催しました。同フォーラムは、日中韓3カ国の労働政策研究機関が共通のテーマに基づいた研究成果を持ち寄って報告、意見交換をすることにより共通認識を醸成するとともに、研究内容を深めることを目的とした国際共同研究会議であり、2002年から開催しています。

今回のテーマは、「高齢化社会と雇用問題」です。

日本の少子高齢化の問題は大変深刻で、高齢者の活躍促進のための環境整備は、重要な政策課題のひとつとなっています。

韓国では今後、高齢化が他国に類を見ないスピードで進むと予想されています。高齢者の経済活動の継続に期待する状況は、日本と非常に良く似ており、こうした中で高齢者の雇用形態や所得の状況が、韓国側の報告により明らかになりました。また、2016年より導入された「60歳定年法」への韓国企業の対応は、日本との比較という点でも、大変興味深いです。

中国においては、高齢化の規模、速度、地域間格差など、中国特有の課題があるといえます。今後このような課題に対して、どのような政策が展開されていくのかが注目されます。その1つに社会保障政策があり、膨大な人口を抱える中国の社会保障制度とその課題についての報告は非常に興味深いものがありました。

今回のフォーラムでは、人口の少子高齢化に伴って引き起こされた様々な雇用問題の実情を比較検討するとともに、それぞれの政策について広く意見交換を行いました。


日時:
2016年12月2日(金曜)
場所:
ラマダプラザ済州ホテル(韓国・済州)
主催:
韓国 韓国労働研究院(KLI)
中国 中国労働保障科学研究院(CALSS)
日本 労働政策研究・研修機構(JILPT)

プログラム

9時30分~9時40分
開会あいさつ
バン・ハナム 韓国労働研究院(KLI) 院長
菅野和夫 労働政策研究·研修機構(JILPT) 理事長
赵 越 中国労働保障科学研究院(CALSS) 副院長

第一セッション(座長:バン・ハナム 韓国労働研究院 院長) 9時40分~12時00分

9時40分~10時10分
「中国における高齢化の状況と就業問題」
陳 雲 人力資源・社会保障部 労働科学研究所 副主任
10時10分~10時40分
「日本の高齢化と雇用対策」
中山明広 労働政策研究・研修機構 統括研究員
10時40分~11時10分
「人口高齢化による韓国高齢層労働市場の現状」
キム・ボクスン 韓国労働研究院 責任研究員
11時10分~11時20分
休憩
11時20分~12時00分
討論
12時00分~14時00分
昼食休憩

第二セッション(座長:赵 越 中国労働保障科学研究院 副院長) 14時00分~15時30分

14時00分~14時30分
「高齢化社会と就業政策:高齢化社会と高齢者社会保障問題」
李 常印 人的資源・社会保障部社会保障研究所 副研究員
14時30分~15時00分
「日本の高年齢者雇用の現状と課題:各種調査結果から」
田原孝明 労働政策研究・研修機構 統括研究員
15時00分~15時30分
「高齢化に対する韓国の労働者の態度と企業の対応:主要業種別比較分析」
パク・ミョンジュン 韓国労働研究院 研究委員
キム・ジュヒョン 忠南大学社会学科 教授
15時30分~15時50分
休憩

総括討論 (座長:菅野和夫 労働政策研究·研修機構 理事長) 15時50分~17時00分

17時00分
閉会
赵 越 中国労働保障科学研究院(CALSS) 副院長
菅野和夫 労働政策研究·研修機構(JILPT) 理事長
バン・ハナム 韓国労働研究院(KLI) 院長

平成29年8月17日掲載

報告書

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