開催報告(ブラジル/Marcolino、要約):第1回海外委託調査員連絡会議・国別報告会
雇用流動化時代における労使の課題
(2003年11月19日)

報告者

ルイズ・クラウジオ・マルコリーノ(Luiz Claudio Marcolino)
ブラジル中央統一労働組合(CUT)サンパウロ州 代表、サンパウロ州中央銀行労働者組合書記長 (General Secretary, Sao Paulo Bank Workers Trade Union / CUT)

要約

労働時間の削減

ブラジルの場合は、労働時間の短縮が進行したが、それ以上に産業部門の生産性が拡大したため、失業が増えたということが起きている。

労使の間でいろいろな交渉、協約、協定があるが、労働時間の短縮による職の保証という観点から、労働時間の重要性が見直されている。ブラジルの銀行業界が週30時間から25時間に労働時間を下げると、銀行の分野だけで15万5000人の職が生まれてくる。

ルーラ新大統領の施策

ルイス・イナシオ・ルーラ大統領は幾つかの新たな施策を打ち出している。基本的な考え方としては、ブラジルのリスクをなくし、インフレ対策を行うことにより、今年の経済成長率、4%を達成することを目指している。

このように、成長率を上げて雇用を増やし、結果として社会保障の負担及び税負担を確保するという観点から、2つのプロジェクトを打ち出した。1つはブラジルから飢餓をなくすという政策である。飢餓をなくすことと雇用を生むということをリンクさせた形の政策を出している。例えば、農業の分野で、種を植え、それを収穫し、分配するという3年計画の中で300万人の雇用を生むとしている。

もう1つは、政府が今国会に提出している法案であるが、18歳から24歳までの中等教育を受けた人を最初に雇用する企業に税金の優遇策を創ることとしている(18歳から24歳までの若者の失業率は38.8%)。また、税金の優遇策以外に、補助金(大企業には少なく、中小企業には多い額)を出すことにより、若者の失業率を下げようとしている。

ただ、失業の問題を本当に解決するためには、経済が拡大していかなければならず、そのために様々な問題を解決していかなければいけないと考えている。