実質ベアなし

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年3月

主要労組のデータによると、02年下半期に年間労働契約の更新を迎えた労働者の大部分は、実質ベアを受けていない。国内で最も強力な労組として、伝統的に高いベアを勝ち取っている金属労組や、化学労組などでも過去のインフレ分を補充が最高水準であった。10月までの12ヶ月間に10.26%に達したインフレの中で、消費は低下、企業はリストラを進めた結果が、インフレ分を補充できた労組は幸運であったと言うような状況を作った。

各中央労組は、今後の交渉を有利に進めるため「半分の労働者はインフレ並に調整を受けた」と発表した。しかし実態は大部分が実質損となっており、実質上昇は稀となっている。中央労組の発表では上半期に契約更新を向かえた労働者の59%は、インフレ分の補充を確保できた。労組の研究所DIEESEの集計では、2年前の2000年にはインフレ並みの調整を受けた労働者は68%に達していた。この率が次第に下がって、労働者にとっては、次第に不利な条件が増加して、労働条件の改善を要求できる交渉力は次第に低下している。

下半期は1500万人以上が契約更新を迎えたが、総選挙が内外投資家を動揺させて、国際社会からブラジルは、警戒を要すると評価された不安が重なって更に条件を悪化さえた。選挙前に交渉期限がきた銀行労組など、最高で名目7%の調整を受けただけであった。コンサルタント会社が行った企業調査によると、企業家の23%のみが、過去のインフレ分を補充するベアを与える用意があると回答しており、労働者の平均所得の低下はまだ続行しそうな情勢となっている。

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