人口増加率の低下で、失業増加緩和期待

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2003年3月

企画省応用経済研究所は、ブラジル地理統計資料院(IBGE)の資料をもとにして、人口増加率の低下により、05年から失業率の増加が緩和されるこの予想を発表した。国勢調査によるとブラジルの女性が生む子供の平均は1940年、50年共に6.2人、60年は6.3人のピークに達した後、70年は5.8人、80年は4.4人、91年は2.9人、2000年は2.3人と、低下している。

人口増加率の低下は大量失業者を抱えた労働市場の面からみれば、失業者の減少に貢献することになる。研究所では現在の失業は、70年代までの高い人口増加率の影響が大きいと分析している。資料院は2000年に2.3人まで低下した子供の数が、今後は更に下がって、2020年には2.1人になると予想している。

また05年以降は失業に対して好影響が次第につよまり、少なくとも30年間は、若年者の増加が、失業増加の原因になることは無いと見ている。

2000年の国勢調査で、学歴を向上させてから労働市場に参加したいと考える国民が増加していることがはっきりしてきたことも、失業率の増加緩和要因の一つとして指摘できる。80年代までのように、子供が14歳になると、学歴に関係なく働かせていた風習は次第に消えつつあり、在学期間が長くなったここと、人口増加率低下と両方によって、新たな労働力の供給が大きく低下している。

人口増加率の低下は失業問題の面では有利となるが、国民全体の平均年齢は上昇して行くことになり、経済活動人口が負担する扶養人口が増加してくる。しかし現在は反対になっており、扶養人口は、1950年に15~65歳の人口100人に対し、79.49人であったものが2000年は54.93人に減少した。平均寿命が伸びた以上に、子供の数が減少している影響が大きい。

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