向こう4年間で76万9,024人の拡大目標を設定/連合中央委員会

2026年10月14日 調査部

連合(芳野友子会長)は10月8日、千葉県浦安市で中央委員会を開き、2027年度活動計画などを確認した。最重要課題としている組織拡大について、「組織拡大プラン2030」フェーズⅡ(2026年10月~2030年9月)の組織拡大目標を1,807件・76万9,024人に設定。その内訳として、前半の2年間で839件・40万7,733人、後半の2年間で968件・36万1,291人を掲げている。芳野会長はあいさつで、「職場に根ざした取り組みを大切にしながら、拡大目標を達成していこう」などと呼び掛けた。

「組織拡大は労組の意義や活動に共感し加入してもらうプロセスの積み重ね」(芳野会長)

冒頭、あいさつした芳野会長は、今期の最重要課題として注力してきた組織拡大について、「地方ブロックに配属されたオルガナイザーの粘り強い取り組みが組織拡大に寄与し、近年の組織人員数の減少トレンドに歯止めをかけ、反転攻勢への足掛かりを築いている」と評価した。そのうえで、「組織拡大は、数値を追うだけなら簡単なことかもしれないが、結局は、現場でたった一人の未加入者に労働組合の意義や活動に共感し加入してもらうというプロセスを積み重ねることでしか達成することができない」と指摘。「その取り組みを担うのは現場で活動する様々な階層の組合役員。仕事と掛け持ちをしながら取り組む人も大勢いて、『面倒だな』『嫌だな』と思う気持ちが先に立つことも理解できる。頑張って声をかけてみてけんもほろろに断れようものなら心が折れ、もう1度やってみようとは思えなくなってしまうこともある」と現場の組合役員の労苦に共感するとともに、労働組合に対する世間の理解についても「総論賛成、各論には慎重。そもそも総論すら反対という人もいる」との認識を示した。

加えて、労組が果たすべき役割にも触れ、「労働組合に加入したからといって、すぐに個人の処遇や境遇が好転するような条件ばかりではなく、仲間と一緒になって交渉などを通じて解決していく地道な努力が必要」だと説明。「組合費を払いさえすれば、自動的に目に見えるメリットが付与されるような会員サービスではない」なかで、「一人ずつ仲間を増やしていくことはとても難しく、手がかかる取り組みだ」と述べた。

変化に対応しながら職場に根ざした組織拡大を進めて目標の達成を

そして、こうした組織化の難しさを踏まえても「一人でも多くの仲間を増やしていかなければならない理由は、私たちの運動の道しるべである『連合の進路』に明示されていて、労働組合は『力と政策』を備えることが必要であると宣言している。その『力』とは組合員という数の力。連合の旗のもとに結集する一人ひとりの思いや知恵や行動による力だ」と説いた。その一方で、「働き方や職業人生に対する価値観は、ひと昔前と比較しても変容していることは間違いない」として、変化に対応しながら組織拡大を進めていく必要性にも言及。「端的に言えば、その場の勢いに任せ、十分な説明をすることなく、無条件に加入を迫るようなアプローチでは共感を得ることはできない」と付言して、職場に根ざした取り組みを大切にすることで拡大目標の達成をめざす必要性を改めて訴えた。

進捗状況の把握や目標達成に向けた課題と向き合い具体的な支援・サポートを行う

活動報告では、2025年11月の中央委員会で確認した「組織拡大プラン2030」フェーズⅡに基づき構成組織と地方連合会が設定した組織拡大目標【(2026年10月~2028年9月)と(2028年10月~2030年9月(4年後まで))】の進捗確認と、目標達成に向けた取り組みの方向性を改めて提示した。

それによると、フェーズⅡの組織拡大目標は、向こう4年間で1,807件・76万9,024人。内訳は、まずは最初の2年間で839件・40万7,733人、さらに2年後に968件・36万1,291人を掲げている。ちなみに、フェーズⅠでは、5年間の実績で67万7,941人を組織化した。

連合の説明によると、本部組織拡大局が構成組織と地方連合会に拡大目標の確認をしたところ、立てた目標に対する進捗確認が互いにできていなかったことがわかったという。そこで今後、連合本部は「各構成組織・地方連合会とのコミュニケーションを継続し、拡大目標の進捗状況の把握や目標達成に向けた課題と向き合い、具体的な支援・サポートを行う」こととした。構成組織は、「自ら掲げた目標達成に向けた支援を行い、必要に応じて連合本部や地方連合会と連携」を図り、地方連合会は「組織拡大・強化担当者や連合オルガナイザーを中心に組織全体で、連合本部や構成組織、地域協議会などと連携し、具体的な取り組みを進める」としている。

なお、昨年10月のフェーズⅡのスタート後、今年6月までの約8カ月間に、33組合・約5,000名の組織拡大が進んでおり、「少しずつではあるが、連携した取り組みが進んでいることを認識している」という。

組織拡大に関しては、質疑で全国ユニオンの代議員から、「数だけに注目が集まっているようなところが少し気になる」との発言があった。「1,000人(規模)のところを1つ組織化するのと、100人(規模)を10職場組織するのでは、効率は100(人規模)の方が悪いが、中小企業は地方ほど多く、そういうところがしっかり組織化できていて労働組合の運動の足腰が強くなっていく」などと発言し、中小企業の組織化の取り組み強化を要請した。

医療・介護・福祉分野で働く人の組織化や処遇改善を推進

一方、2027年度の活動計画では、前半年度同様、連合ビジョンに掲げる「働くことを軸とする安心社会の実現に向けて」取り組みを推進するとともに、連合運動の持続可能性と発展性を支える運動基盤の強化についても具体的な運動を進めていく考え。組織拡大については、先述の「組織拡大プラン2030」の目標達成に向けて、未組織企業へのオルグやオンライン組合作り相談会を通年で実施するとともに、女性や若者などの次世代の組織拡大を担う人財の育成も推進。さらに、労働相談が多く寄せられている医療・介護・福祉分野の組織拡大にも力点を置くほか、フリーランスについてもWor-Qの取り組みを通じて繋がりを深めるとともに、「連合フリーランス労災保険センター」への加入を促進する。

安心社会とディーセント・ワークの推進では、社会保障・教育と税制の一体改革に向けて、2027年度予算編成に向けた「財政規律の強化や歳出構造の抜本見直し」を要求。2027年度税制改正に向けても、「所得再分配機能の強化や低所得者支援の充実など、税制の抜本改革」を求める。あわせて、医療、介護、保育などのサービス提供体制の構築と、社会保障を担うすべての労働者のさらなる賃上げや労働条件の改善に資する公定価格の改定に取り組む。

働く者のための労働基準関係法制の実現に向けた取り組みを

労働政策では、「最低基準である労働基準法制を堅持したうえで、長時間労働の是正、休息確保や生活時間保障の充実に向けた法改正に取り組む」など、働く者のための労働基準関係法制の実現に向けた活動を推進。同一労働同一賃金の実現や障がい者雇用の質の向上、外国人労働者にかかわる総合的な政策の策定などにも取り組む。

また、27春闘では、「取り巻く情勢を見極め、『人への投資』により日本全体の実質賃金を1%上昇軌道に安定させ、働き方の改善などを含めた総合生活改善闘争に取り組む」。その際、「企業規模間、雇用形態間、男女間などの格差是正にこだわる」。あわせて、「中小企業の経営基盤強化と地域社会の活性化をはかるため、働き方も含めた『サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配』の実現に向けて適正な価格転嫁・適正取引、生産性向上にむけた中小企業等の支援、『パートナーシップ構築宣言』の推進に取り組む」方向性も示している。

クオータ制の導入も含めたポジティブ・アクション強化の取り組みも

ジェンダー平等などでは、「クオータ制の導入も含めたポジティブ・アクション強化に向けた取り組みの一層の推進」を展開。「『困難な問題を抱える女性への支援に関する法律』にもとづく地方自治体における基本計画の着実な実行と多様な支援を包括的に提供する体制整備」を求めるなどとしている。

このほか、活動計画は、社会連帯を通じた平和・人権・社会貢献や、政策実現に向けた政治活動、国際労働運動、連合運動を支える人財の確保・育成などについても取り組み内容を列記している。

「最低賃金対策室」を新設して取り組みの連携・強化をはかる

なお、中央委員会では、活動計画の「さらなる実践力向上ならびに円滑な業務遂行をはかる観点」から連合本部事務局の組織体制・運営の見直しを図ることも確認した。具体的には、「地域別最賃のさらなる引き上げや、新設を含めた特定最賃の積極的な活用など、最低賃金の取り組みについて構成組織・地方連合会との連携を含めて強化をはかる観点」から「最低賃金対策室」を新設。「雇用政策および労働政策の動向を踏まえた迅速な対応や取り組みの強化をはかる観点」で、「労働法制局」の所管を整理して「労働法制局」と「雇用対策局」に再編成する。