公務員賃金の社会的影響を踏まえた賃金改善を/国公労連定期大会

2026年9月11日 調査部

国家公務員や関連する独立行政法人の職員などで組織する国公労連(浅野龍一委員長、4万5,000人)は8月27日から3日間、都内で定期大会を開き、公務員賃金の社会的影響などを踏まえた賃金改善を求めることなどを柱とする向こう1年間の運動方針を確認した。浅野委員長はあいさつで、全世代の賃上げが示された今年の人事院勧告について、「労働運動の成果」だと評価する一方、「物価高や職員の労苦に応えるには不十分」などと指摘し、さらなる処遇改善の必要性を主張。「一人ひとりの組合員が主体性を発揮し、『対話と学びあい』を基盤とした組織と闘争を構築しなければ、能力・実績主義の強化や労働時間規制の緩和などに抗うことはできない」などとする大会宣言も採択した。

方針は、向こう1年の運動の重点課題として、①改憲阻止と憲法をいかすとりくみ②国民本位の行財政・司法の確立に向けたとりくみ③国公労働者の労働条件と権利を守るとりくみ④国公産別組織の強化・拡大に向けたとりくみ――の推進を掲げている。

物価上昇を上回る全世代へのベアや高齢層の賃金体系の抜本的な改善を

このうち、賃金改善などの労働条件改善をめざす取り組みでは、「国公労働者の職務と生活の実態とともに、公務員賃金の社会的影響などを踏まえた賃金改善が図られるよう、政府・人事院への追求を強化」。とりわけ、①物価上昇を上回る全世代を対象としたベースアップ②官民較差の比較企業規模1,000人以上への機関間格差のない引上げ③定年延長や55歳超職員、再任用職員をはじめとする高齢層の賃金体系の抜本的な改善④人材の確保につながる若年層の賃金の官民較差の解消⑤民間賃金を含めた地域間格差の解消につながる地域手当の見直し⑥物価上昇に対応した住居手当や寒冷地手当をはじめとする諸手当の改善――の観点を重視する。

職員の希望で70歳まで就業できる機会の確保も

高齢層職員をめぐる課題では、「定年引上げの円滑な運用とともに、安心して定年延長を希望できる職場環境」の実現を要求する。定年引上げの段階的な期間中は、「必要かつ安定的な新規採用とともに、任用・昇格の『世代間の公平』を確保」。当事者が健康状態などを踏まえて「任意に『働き方』を選択できるよう、短時間勤務や超過勤務の免除・制限などの合理的配慮、職員の希望による70歳までの就業機会の確保」なども求める。

再任用職員についても、「常勤職員との不合理な格差の解消と勤務条件の抜本的な改善をめざす」。「フルタイム再任用の希望を保障するとともに、職務・職責の実態に見合った職務の級に任用できる定員・定数」の確保を追求。再任用職員の勤務条件に関わるキャンペーン活動も展開して、諸要求の推進を図る考えだ。

労働条件関連ではこのほか、非常勤職員の雇用安定と処遇改善、労働時間規制の緩和と裁量労働制の対象業務拡大阻止なども掲げている。

なお、国民本位の行政実現の取り組みでは、生成AIの利用をはじめとする行政DXについて、「その狙いや本質を顕在化させるとともに、国民・住民の行政サービスの向上、公務・公共サービスの充実、職員の勤務条件の改善などにつながるものとなるよう、国公産別としての政策提言のとりまとめをめざす」方向性を示している。

人勧で「少なくない改善を勝ち取ったことは労働運動の成果」(浅野委員長)

あいさつした浅野委員長は、再任用職員を含む全世代の賃金改定が示された今年の人事院勧告を、「少なくない改善を勝ち取ったことは、労働運動の成果」だと評価する一方で、「物価高や職員の労苦に応えるには不十分で、中高齢層の賃金抑制措置は依然として存置されている」と指摘。あわせて、医療職・福祉職の賃金改定の内容についても触れ、医療・介護労働者の処遇改善の重要性を強調した。

「人事制度の見直し」に関わる検討会を設置

今回の人勧で骨格が示された「人事制度見直し」にも言及。「ポストの職責を俸給額で明確に位置付けるとして『職務給原則』を徹底したものになっている」などと強く非難したうえで、「さらに今後は、本府省の幹部職員から一般の職員にも広めようとしている。公務を歪める人事制度を断じて許すわけにはいかない」と訴えた。

「人事制度の見直し」に関しては、2027年夏に具体的な内容が報告される予定。国公労連は大会前に開いた説明会で、「人事制度の見直し」に関わる課題を議論する検討会を設置する意向を示している。

「対話と学びあい」を基盤とした組織と闘争の構築を

また、大会では、「当面の最重要課題の1つに、人事院が狙う『新たな人事制度』に対峙できる組織力の強化がある。一人ひとりの組合員が主体性を発揮し、『対話と学びあい』を基盤とした組織と闘争を構築しなければ、能力・実績主義の強化や労働時間規制の緩和など、不当な攻撃に抗うことはできない」などとする大会宣言も採択した。

役員改選では、浅野委員長(全法務)と笠松鉄兵書記長(国土交通)が再選された。