正社員組合員、短時間組合員ともに結成以降で最高水準の引き上げ額/UAゼンセンの第3のヤマ場(3月末)の回答状況

2026年4月10日 調査部

UAゼンセン(永島智子会長)は4月3日、2026労働条件闘争の第3のヤマ場(3月末)を終えた4月1日午前10時時点の妥結集約を発表した。正社員(フルタイム)組合員の制度昇給とベアなどを合わせた「総合計」での引き上げ額は1万7,024円、賃金体系維持が明確な組合の賃金引き上げ分(ベアなど)は1万2,098円となり、どちらの引き上げ額もUAゼンセン結成後の2013年賃金闘争以降では最高水準となっている。また、短時間(パートタイム)組合員の時給の引き上げ額は80.4円、引き上げ率は6.63%となり、短時間組合員では額・率ともに結成以来の最高水準となった。

正社員組合員の「総合計」での引き上げ率は5.21%で、3年連続5%台に

妥結集計によると、4月1日午前10時時点で、正社員(フルタイム)組合員については454組合、短時間(パートタイム)組合員については220組合、契約社員組合員については64組合が妥結している(合計118万強の組合員)。

正社員組合員の妥結状況をみると、制度昇給とベアなどを合わせた「総合計」での引き上げ額の加重平均(43万6,146人)は1万7,024円、率は5.21%となっており、賃金体系維持が明確な組合の賃金引き上げ分(ベアなど)の加重平均(29万4,619人)は1万2,098円、率は3.66%となっている。

「総合計」は前年同時期(1万6,125円、5.14%)と比べて899円上回り、引き上げ率は3年連続で5%台に達している。「賃金引き上げ分(ベアなど)」についても、前年同時期(1万1,394円、3.57%)と比べて704円上回り、3年連続で3%台にのった。「総合計」および「賃金引き上げ分(ベアなど)」の引き上げ額については、ともに過去最高の水準となっている。

正社員組合員について妥結した454組合中、満額(満額以上含む)回答を得たのは77組合となった。また、前年と比較できる449組合(43万5,209人)について、前年と比べた増減額・率の状況をみると、加重平均で「総合計」が1,035円増、率が0.13ポイント増、「賃金引き上げ分(ベアなど)」が1,025円増、率は0.18ポイント増となっている。

「300人以上」は前年同時期より「総合計」での引き上げ額が900円超アップ

正社員組合員の妥結状況を規模別にみると、「300人以上」では、「総合計」での引き上げ額が1万7,152円、率は5.21%で、賃金体系維持が明確な組合の賃金引き上げ分(ベアなど)が1万2,141円、率は3.66%となっている。「300人未満」では、「総合計」での引き上げ額が1万5,012円、率は5.10%で、賃金体系維持が明確な組合の賃金引き上げ分(ベアなど)が1万1,013円、率は3.60%となった。

「300人以上」では、「総合計」が前年同時期(1万6,225円、5.14%)よりも927円上回り、「賃金引き上げ分(ベアなど)」は前年同時期(1万1,441円、3.57%)よりも700円上回っている。「300人未満」では、「総合計」が前年同時期(1万4,586円、5.07%)と比べて426円上回り、「賃金引き上げ分(ベアなど)」が前年同時期(1万475円、3.56%)と比べて538円上回った。

「製造産業部門」と「総合サービス部門」の「総合計」での引き上げ額は1万8,000円超に

部門別にみると、「製造産業部門」では、「総合計」での引き上げ額が1万8,423円、率は5.47%で、賃金体系維持が明確な組合の賃金引き上げ分(ベアなど)が1万2,837円、率は3.79%。「流通部門」では、「総合計」での引き上げ額が1万5,937円、率は4.93%で、賃金体系維持が明確な組合の賃金引き上げ分(ベアなど)が1万1,583円、率は3.51%となっている。「総合サービス部門」では、「総合計」での引き上げ額が1万8,883円、率は5.76%で、賃金体系維持が明確な組合の賃金引き上げ分(ベアなど)が1万3,283円、率は4.13%となった。

前年と比較できる449組合(43万5,209人)について、前年と比べた増減額・率の状況を部門別にみると、「製造産業部門」では「総合計」が784円増、率は前年同率、「賃金引き上げ分(ベアなど)」が59円減、率は0.19ポイント減となっている。「流通部門」では、「総合計」が1,370円増、率は0.29ポイント増、「賃金引き上げ分(ベアなど)」が1,662円増、率は0.40ポイント増。「総合サービス部門」では、「総合計」が269円増、率は0.24ポイント減、「賃金引き上げ分(ベアなど)」が97円減、率は0.19ポイント減となった。

短時間組合員の引き上げ率は正社員を1.4ポイント超上回る

短時間組合員の妥結状況をみると、「総合計」(時給)での引き上げは、加重平均(73万3,311人)で80.4円(6.63%)と、前年同時期の70.1円(6.08%)と比べ、額は10円以上上回り、率は0.55ポイント増となっている。引き上げ額・率はともに、UAゼンセン結成以来の最高水準となっている。

正社員組合員の引き上げ率と比べると、正社員の5.21%を1.42ポイント上回る結果となっており、この時期で正社員を上回るのは11年連続となっている。なお、短時間組合員について妥結した220組合のうち、前年と比較できる208組合(72万5,374人)における前年比増減額・率は、8.58円増(0.40%増)となっている。

企業内最低賃金については、正社員組合員は月額で妥結した225組合の平均が21万2,065円、時間額で妥結した205組合は平均 1,300円となった。前年と比較できる組合の増額分は、月額1万2,298円(194組合)、時間額88円(175組合)。短時間組合員でも、前年との比較可能な96組合の増額分が 60円と、法定最低賃金の引き上げを見据えた妥結結果となっている。なお、妥結組合数は前年に比べ、正社員組合員(24組合増)、短時間組合員(60組合増)とも増えている。

「今後の中小組合の交渉につなげるうえで大きな意義があるもの」と評価(永島会長)

3日の会見で永島会長は、正社員組合員や短時間組合員の妥結結果について、「実質賃金を1%程度上昇させるという目標を今後に続く中小組合の交渉へつなげていくうえで大きな意義があるもの」と評価。現状続くアメリカとイスラエルによるイランへの攻撃など、「緊迫する中東情勢の影響が懸念されるなかでも、冷静に交渉を進めた労使の真摯な取り組みが今回の結果につながったと受け止めている」と述べた。

また、中小組合の交渉を後押しする戦略として、今次闘争で掲げてきた3月内決着の促進や、企業内最低賃金協定についても「前向きな取り組みとして一定の効果をもたらすもの」と指摘。「企業内最低賃金については、協定化が進み、妥結組合数が大幅に増加した。これは大きな成果であり、今後の交渉においても取り組みを促していきたい」と述べている。

製造産業部門では「300人未満」の7割以上が前年以上の引き上げ額に

会見では、各部門からも報告があった。製造産業部門からは吉山秀樹・部門事務局長が、正社員組合員について妥結した174組合のうち「300人未満」(114組合)の引き上げ額は前年より、「総合計」が1,000円増、「賃金引き上げ分(ベアなど)」が638円増となったことを報告。また、114組合のうち前年以上で妥結した組合数は7割以上(84組合)、前年を1,000円以上上回る結果を出したのは約5割(54組合)となっていることを説明した。この要因としては、「ミニマム水準に未達の組合が要求基準を昨年より1,000円引き上げていることや、人材確保には賃金水準引き上げが必要だということを会社側に主張し、『賃金を上げざるを得ない』という認識が醸成できているのではないか」としている。

また、賃金以外の総合労働条件改善に向けた項目については、価格交渉の進展状況を確認した組合がいたことや、年間休日増の取り組みとして「休日増を獲得した13組合のうち4組合が、休日を5日から10日増やして、年間120日にしている」と報告した。

流通部門では短時間組合員の妥結水準が正社員組合員より1.71%上回る

流通部門からは桂義樹・部門事務局長が、正社員組合員について妥結した172組合のうち「300人未満」(45組合)における妥結状況について、「結果として『300人以上』を下回ったが、その差は昨年よりも大幅に縮まった」と報告している。また、「総合計」で1万8,500円を超えた組合が25組合あり、「賃金引き上げ分(ベアなど)」の引き上げ率が3%を超えている組合が56組合にのぼっていることなどを説明し、「非常に高い相場を作ってもらった」と評価した。

短時間組合員については、方針で正社員よりも1%上乗せした要求水準で臨んだところ、「結果的に1.71%上乗せとなる水準を獲得し、『総合計』では54組合が80円を超える額、27組合が90円を超える額で妥結した」と報告。また、賃金以外でも、57組合で年間休日増に関して妥結し、「平均1.9日増を獲得した」ことや、「ドラッグ業界において、以前より課題視されていた管理登録販売者手当について、現行1万円~1万5,000円となっているところ、10組合が『2万円への引き上げ』を要求して回答を得た」ことを説明した。

総合サービス部門からは髙井哲郎・部門事務局長が、正社員組合員について、同部門における前年同組合での比較を規模別にみると、「300人未満」は前年より1,285円上乗せ、「300人以上」は前年より180円上乗せとなったことを報告。また、フードサービス、ホテル・レジャー、生活サービスなどで高い妥結結果となっていることを説明した。短時間組合員については「妥結額が加重平均で81.6円で、前年を16.9円上回った」と述べている。