賃金改善などの平均回答は1万1,359円/金属労協2026闘争の3月末現在の回答状況
2026年4月10日 調査部
金属労協(JCM、金子晃浩議長)は4月2日、2026闘争での3月31日現在の賃金引き上げなどの回答集計結果を公表した。ベースアップや賃金改善などの賃上げの回答額の全体平均(単純平均)は1万1,359円。この時期では、比較可能な2014年以降、最高水準となった。同日、記者会見した金子議長は、「引き出した回答は物価上昇を上回る高い水準。ベアは3.8%でほぼ昨年並みとなり、組合員の生活不安の払拭に加えて、経済の好循環にもつながる」などと評価した。
賃上げ要求額は単純平均で1万4,383円
集計結果によると、賃金については、構成組合3,023のうち、3月末現在で要求を提出したのは2,430組合。賃上げ要求額の単純平均は1万4,383円で前年同時期を403円上回った。これを規模別にみると、1,000人以上は1万5,291円(同518円増)、300~999人は1万4,887円(同300円増)、299人以下は1万4,052円(416円増)となっている。
単純平均の回答額は299人以下も1万円台に
これに対し、回答・集約組合は1,257組合で、このうち1,110組合が賃上げを獲得。回答・集約組合に対する賃上げ獲得組合の割合は88.3%となった。回答額の単純平均は1万1,359円で、昨年同時期(1万981円)より387円高い。規模別では、1,000人以上は1万3,640円(同484円増)、300~999人は1万2,401円(同489円増)、299人以下が1万99円(同361円増)だった。回答額は299人以下も1万円台に乗せるなど、すべての規模で前年を上回り、比較可能な2014年以降で最高の引き上げ額となった。
一時金の平均月数は4.80カ月
一時金は、要求組合が1,826組合、業績連動方式等を採用している組合が261組合で、回答・集約・確定組合の数は810組合(前年同時期868組合)となっている。昨年を上回る水準となったのは前年より19組合多い335組合、同水準が32組合少ない196組合、下回った組合も42組合少ない203組合だった。
平均月数は前年同時期比0.05カ月増の4.80カ月で、一時金も2014年以降で最高水準となった。金属労協が最低獲得水準とする4カ月に届かなかった組合は136組合で、昨年同時期の139組合とほぼ同じだった。
「組合員の生活不安の払拭に加え経済の好循環にもつながる高水準」(金子議長)
こうした回答状況について、金子議長は同日の会見で、「引き出した回答は物価上昇を上回る高い水準。ベアは3.8%でほぼ昨年並みとなり、組合員の生活不安の払拭に加えて、経済の好循環にもつながる高い水準だ」などと評価。「昨今では中東情勢を元にした不安感や先行きの見通せなさといった懸念が騒がれているが、金属労協加盟組織のなかでは、いまの足元の環境変化はほぼ影響していない」との認識を示した。そのうえで、「今後、ここまでの取り組み経過・成果を糧に引き続き、交渉に臨んでいきたい」と述べた。
JAMと自動車総連が回答状況を明らかに
金属労協の加盟産別では、JAM(安河内賢弘会長)と自動車総連(金子晃浩会長)が、それぞれの状況の詳細を伝えている。
300人未満とそれ以上の規模との格差を縮める/JAM
加盟組合に中小が多いJAMは3日、記者会見を開き、3月末時点の要求・回答状況を報告した。
それによると、交渉単位1,417単組のうち、684単組(48.3%)で回答を受けている。賃金構造維持分を明示している組合の賃金改善分の単純平均額は1万395円で、300人未満の組合をみると9,266円となっており、いずれもJAM結成(1999年)以来の最高となった。
会見ではまた、アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃の影響について、地方JAMを通して傘下の単組に行った聞き取り調査の結果の報告があった。それによると、一部の単組から、「中東に対する自動車関連部品の輸出が滞っていて、在庫が積み上がっている」「シンナーといった塗料が品薄となっている」といった回答があった。
なお、JAMの最新の回答集計(4月8日まで、執筆時点)では、賃金構造維持分を明示している組合で、賃金改善分を獲得した組合は626組合あり、賃金改善分の平均額は1万246円となっている。
自動車総連は中小も前年を上回る回答
自動車総連は3日、前日までの加盟組合の回答状況を集計した。要求提出済みの984組合のうち半数近くにあたる467組合で妥結または妥結方向に至っている。
集計結果をみると、賃金カーブ維持分と賃金改善分を合わせた総額の平均回答は前年同時期を312円上回る1万4,816円、賃金改善分は同476円プラスの1万1,059円で、1976年以降で最高額を記録した昨年同時期と同等水準。賃上げ率は総額5.23%、賃金改善分4.04%となっている。
一方、規模別では、300人未満の中小組合の総額の平均回答は1万3,888円(前年同時期比1,059円増)、賃金改善分は1万396円(同758円増)で、昨年同時期からの上昇額は、総額・賃金改善分ともに中小組合が全体を上回る状況だ。
なお、年間一時金は、全体の平均回答が昨年同時期(4.81カ月)とほぼ同水準の4.85カ月。力点を置く年間休日増の取り組みでも、「一部の労連では加盟組合全体で1日増の要求を行い、回答獲得に至っている」ほか、「部品メーカーで1日~3日増の回答を獲得している」という。


