全体、300人未満の組合ともに定期昇給相当分込みで5%台の引き上げ率を維持/連合の第3回回答集計を受けての合同会見

2026年4月10日 調査部

連合(芳野友子会長)は4月3日、2026春季生活闘争の第3回回答集計結果(1日午前10時時点)をまとめた。2,311組合について集計した平均賃金方式での定期昇給相当分込みの賃上げ額の加重平均は1万6,892円で、率にすると5.09%。300人未満の組合(1,332組合)では1万3,960円・5.00%となっており、全体・300人未満ともに5%台の引き上げ率を維持した。有期・短時間・契約等労働者の賃上げ額は、加重平均で時給80.39円と昨年同時期を10円近く上回り、引き上げ率は6.61%と一般組合員の引き上げ率を上回っている。連合は同日、回答集計に関する共闘連絡会議との合同記者会見を開催。芳野会長は賃上げ結果について、「組合規模にかかわらず引き続き高水準を維持しており、賃上げが当たり前の社会の実現に向けて着実に前進をしている」などと評価した。

3月末までで68.6%の組合がなんらかの要求を提出

第3回回答集計結果によると、集計組合7,844組合の68.6%にあたる5,380組合が賃金を含むなんらかの要求を提出しており、そのうち月例賃金改善を要求しているのは3,746組合となっている。月例賃金改善について妥結済みの組合は2,211組合で、賃金改善分を獲得したことがわかっているのは66.0%にあたる1,459組合で、残りの組合のうち33.4%(739組合)は確認中となっている。

定昇相当込みの賃上げ額は1万6.892円

平均賃金方式での賃上げの回答集計結果をみると、2,311組合の集計で、定昇相当込みの賃上げ額は加重平均で昨年同時期比466円減の1万6,892円。率は同0.33ポイント減の5.09%。

これを組合規模別でみると、「300人以上」は額が同519円減の1万7,099円で、率は0.35ポイント減の5.09%。「300人未満」は、額が同600円増の1万3,960円で、率が昨年同時期と同じ5.00%となっている。

さらに細かい区分でみると、「1,000人以上」は額が726円減の1万7,237円、率が0.43ポイント減の5.05%。「300~999人」は額が907円増の1万6,340円、率が0.09ポイント増の5.32%。「100~299人」は額が585円増の1万4,480円、率が0.01ポイント減の5.08%。「99人以下」は額が563円増の1万2,232円、率が0.01ポイント減の4.68%となっている。

額は規模が大きいほど高くなっているが、率でみると、「300~999人」が最も高く、最も低いのは「99人以下」となっている。昨年同時期比では、額は「1,000人以上」だけがマイナスとなっており、率では「300~999人」のみプラスとなっている。

連合では率がおおむね昨年同時期よりも低下していることについて、賃上げによって賃金水準のベースが上がっていることも考慮する必要があると説明している。

5%以上の賃上げ率が全体の約56%、「賃上げのすそ野が拡大している」

連合は今回初めて、過去3年間の第3回集計結果における定昇込みの賃上げ率の分布を公表資料のなかで紹介している。これをみると、今年の第3回回答集計では、「2%未満」が2.4%、「2%以上3%未満」が4.9%、「3%以上4%未満」が13.8%、「4%以上5%未満」が22.9%、「5%以上6%未満」が32.5%、「6%以上7%未満」が16.9%、「7%以上」が6.7%となっている。

5%以上の割合を合計すると56.1%で、これを2025年(53.3%)、2024年(43.7%)と比べてみると、年々割合が拡大しており、連合では「賃上げの裾野が拡大しているのが見て取れる」(仁平章・総合政策推進局長)としている。

バラツキが見られる業種別の賃上げ率

平均賃金方式での定昇相当込みの賃上げ率(加重平均)について業種別にみると、「製造業」は5.43%(昨年同時期5.65%)で「300人未満」では5.03%(同5.11%)、「商業流通」は4.91%(同4.78%)で「300人未満」が4.88%(同4.67%)、「交通運輸」が4.01%(同4.68%)で「300人未満」が4.26%(同3.80%)、「サービス・ホテル」が3.87%(同5.04%)で「300人未満」が4.07%(同4.99%)、「情報・出版」が4.30%(同5.41%)で「300人未満」が5.97%(同5.41%)、「金融・保険」が6.33%(同4.74%)で「300人未満」が4.82%(同4.79%)などとなっており、業種間でバラツキが見られる状況となっている。

ベアなど「賃上げ分」の平均は1万1,845円・3.58%

ベアや賃金改善などの「賃上げ分」が明確に分かる1,981組合の「賃上げ分」の加重平均は額で1万1,845円、率で3.58%。昨年同時期比では額が429円減、率が0.24ポイント減となった。

「賃上げ分」についても規模別にみると、「300人未満」の組合は、額が同363円増の1万481円で、率は0.05ポイント減の3.68%。「300人以上」は、額が455円減の1万1,933円で、率は0.25ポイント減の3.58%となっている。率でみれば「300人未満」のほうが高い結果となっていると同時に、全体での結果も上回っている。

時給の加重平均は80.39円

一方、パートタイマーや有期契約社員などの「有期・短時間労働者・契約等労働者」の賃上げについてみると、時給では加重平均(73万4,953人の集計)で80.39円となり、昨年同時期を9.88円上回っている。率にすると6.61%で、昨年同時期を0.51ポイント上回っている。月給は加重平均(同1万9,393人)で1万2,324円(5.05%)となり、昨年同時期を910円上回った。

一時金については、フルタイム組合員の年間月数の加重平均は5.10カ月で、昨年同時期を0.09月上回っている。

「賃上げが当たり前の社会の実現に向けて着実に前進」(芳野会長)

連合は3日、本部で第3回回答集計に関する共闘連絡会議との合同記者会見を開いた。芳野会長は賃上げ結果について、「組合規模にかかわらず引き続き高水準を維持しており、賃上げが当たり前の社会の実現に向けて着実に前進をしている。多くの組合が『人への投資』の重要性を訴え、粘り強く交渉した結果だ」と評価。「この勢いを、後続の組合や組合のない職場を含め、社会全体へ波及させていきたい」と訴えた。

金属共闘連絡会議の金子晃浩代表(自動車総連会長)は、金属労協に加盟する組合について集計した賃上げ回答額の平均をみるとすべての規模で昨年を上回り、比較可能な2014年以降での最高となっていると説明。最近の中東情勢の交渉への影響にいては「特に出ていないと言っていいのではないか」と話した。

UAゼンセンの製造は格差拡大の歯止めで一定の成果

化学・食品・製造等共闘連絡会議の堀谷俊志代表(JEC連合会長)は、UAゼンセン製造産業部門については「格差拡大に歯止めをかけることについて、一定の成果が出ている」と報告。フード連合では、前年比でみると額、率ともに中小が全体を上回っており、「中小労組においても、地場の賃金あるいは生計費等の見合いから、自社の実態や将来を見据えた労使協議を進めた結果だと捉えている」と話した。ゴム連合については、「産業内における企業規模や収益状況の違いから、中小労組においては自社業績を意識した交渉せざるを得ないという面で少し苦戦をしている」と報告した。

JEC連合については、中小でも全体の賃上げ額が1万7,000円を超える数字になっており、大手との金額の差が今年は3,000円程度におさまっていることから(昨年の最終段階で約7,000円の差)、「率、額ともに昨年を大きく上回っている状況にあり、格差是正の取り組みを強化した結果」などと評価した。堀谷代表はこのほか、紙パ連合、印刷労連、セラミックス連合、薬粧連合についても状況を説明した。

流通・サービス・金融共闘連絡会議の永島智子代表(UAゼンセン会長)は、UAゼンセンについては結成以来の最高の引き上げ水準となっており、物価上昇を1%程度上回る交渉が継続しているとし、自治労加盟の一部の自動車学校で満額や要求以上の回答も出ていると報告。全労金では平均で5%を超える賃金改善率となっており、過去最高額の改善につなげることができているなどと述べた。このほか、生保労連、損保労連、サービス連合の状況を報告した。

インフラではおおむね満額か昨年を上回る状況

インフラ・公益共闘連絡会議の北野眞一代表(情報労連委員長)は、全体的な状況について、「人材確保、定着、そして今大きな課題になっているインフラを支える現場力の維持、さらには技術継承という観点から、中小規模の企業労使においても昨年並みというところも一部はあるが、おおむね満額もしくは昨年を上回る回答状況となっている」などと報告した。同会議は自治労、基幹労連、JP労組、電力総連、情報労連、全国ガスなどで構成している。

交通・運輸共闘連絡会議の成田幸隆代表(運輸労連委員長)は、運輸労連の状況について、1,000人以上の大手は昨年に比べ厳しい状況にあるものの、100人以下の組合では1万円を超える回答も出ており、「厳しい環境下での最大限の回答を引き出している」などと報告した。成田代表はこのほか、JRや私鉄、タクシーなどの状況も報告した。