単純平均8,646円でスタート/国民春闘共闘委員会の第1回集計
2026年3月27日 調査部
全労連や中立組合などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事:秋山正臣全労連議長)は3月13日、2026春闘の第1回賃上げ集計結果を公表した。それによると、12日時点で321組合が回答を引き出し、有額回答のあった209組合の単純平均は8,646円、率は3.14%。25春闘の初回集計(7,499円)を1,147円上回り、1998年以来となる8,000円台でスタートを切った。
国民春闘共闘は今春の賃上げ交渉で、「実質賃金をプラスに転換することができず労働者の賃上げ実感を得ることができていない」として、25春闘の要求より月額で1,000円、時間額も50円高い「月額3万3,000円以上・約10%以上(要求額を率換算)、時間額250円以上・約17%以上(同)」の統一要求を掲げている。
加重平均は8,106円、2.74%
集計結果をみると、12日時点で回答を引き出したのは321組合(昨年同期359組合)。このうち、有額回答は209組合で、単純平均(組合平均)は8,646円、率では3.14%となった。昨年同時期より額で1,147円、率も0.35ポイント高い。加重平均(組合員平均)では8,106円(前年同期比1,078円プラス)、率で2.74%(同0.04ポイントプラス)となっている。
前年実績と比較が可能な187組合をみると、単純平均は8,525円(昨年8,736円)で前年実績を211円下回った。一方、率が比較できる118組合の賃上げ率は3.08%(同3.31%)で、こちらも前年同期に比べ0.23ポイント低い。前年実績を超える回答を引き出しているのは、額で90組合・48.1%、賃上げ率では50組合・42.4%と、額・率とも4割台にとどまっている。
製造業やマスコミ関係など82組合が5桁回答を獲得
各単産の動向をみると、JMITU(36組合)や出版労連(12組合)、化学一般労連(9組合)、生協労連の卸売・小売(6組合)など82組合(前年同期66組合)が1万円以上の5桁回答を獲得。このうち、JMITU(4組合)、生協労連(2組合)、出版労連(1組合)は2万円以上の回答を引き出した。
他産業に比べ低水準にとどまるケア労働者の賃上げ
産業別の回答状況(単純平均)では、卸売・小売業(1万2,758円)と製造業(1万796円)が1万円超となっているほか、マスコミ・出版(8,706円)も8,000円台で前年同期を上回っている。その一方で、医療は5,942円で昨年同期より531円高いものの厳しい状況。前年同時期に7,000円台だった社会福祉・介護は前年を1,855円も下回る5,152円だった。
医療や介護、障害福祉などの産業で働く、いわゆるケア労働者の処遇に関しては、政府が昨年末の臨時国会で「医療・介護支援パッケージ」として1兆円超の補正予算を計上。診療報酬についても2014年以来12年ぶりとなる本体プラス3.09%の改定を打ち出し、2026・2027年度にそれぞれ3.2%のベースアップ実現を目指すことを見込んだ。介護報酬(2.03%)や障害福祉サービス報酬(1.84%)の改定も1年前倒しで行われることになっている。
これらの施策について、同日、記者会見した国民春闘共闘の黒澤幸一事務局長(全労連事務局長)は、「一定の賃上げの施策と受け止めている」としながらも、今回の賃上げ集計で医療や介護・社会福祉が「他産業より非常に低く推移している」ことに言及。「雇用する労働者の生活を守り見通しを示すことは、経営者の最低限の責務だと思うが、この分野ではそういうことが果たされていない」などと訴えた。
時給引き上げ額は47.8円
一方、非正規労働者の賃上げ状況については、6単産75組合から208件の報告が寄せられた。時給制では130件の報告があり、そのうち引き上げ額が判明している103件の単純平均は47.8円(前年同期44.2円)。月給制の引き上げ額は34件の単純平均で6,912円(同6,045円)だった。
なお、再雇用・継続雇用者の賃上げ状況については、時給制(24件)で単純平均57.3円、月給制(12件)は平均4,692円となっている。
「全労働者が生活改善したと実感できる水準引き上げを」(黒澤事務局長)
こうした状況について黒澤事務局長は、「賃金引き上げの流れを継続させる結果で、中小企業での賃上げ疲れや戦争による原油の急騰、不安定な経済状況と言われるもと、労働組合が集団交渉で賃金引き上げの流れをつくってきたものだ」と述べ、非正規雇用労働者の賃上げが「昨年を上回ることができた」ことも含め、評価する考えを示した。その一方で、「この水準は昨年、一昨年同様、極めて不十分。このまま推移するなら、これまで同様、実質賃金4年連続マイナスをプラスに転換することはできない」などと指摘。「どうしても実質賃金をプラスに転換させ、全ての労働者が生活改善したと実感できる水準に引き上げられることが必要」だとして、26春闘のなかでさらに回答の上積みを図っていく姿勢を強調した。
第2回集計も前年同期を上回る水準を維持
国民春闘共闘委員会は24日に26春闘の第2回目の賃上げ集計を公表した。3月19日までに496組合が回答を引き出し、有額回答のあった303組合の単純平均は前年同期より335円高い8,362円。率も前回を0.06ポイント上回る3.00%となった。加重平均では、額が7,921円、率は2.64%となっている。
非正規労働者の賃上げについては、7単産108組合から253件の報告があった。時給制は引き上げ額がわかる120件の単純平均は47.3円、月給制は37件の単純平均で6,838円だった。


