賃上げ率は3年続けて5%超に/連合の2026春季生活闘争の第1回回答集計

2026年3月27日 調査部

連合(芳野友子会長)は3月23日、2026春季生活闘争の第1回回答集計結果(23日午前10時時点)を発表した。平均賃金方式での定期昇給相当分込みの賃上げ額(加重平均)は1万7,687円、率は5.26%となった。前年同時期(5.46%)より0.20ポイント減少したものの、3年連続で5%を超えた格好。また、300人未満の組合の賃上げ額は1万4,300円、率は5.05%となり、中小組合も昨年に続いて5%台を記録した。有期・短時間・契約等労働者の賃上げ額(加重平均)は、時給で84.51円、6.89%で、引き上げ率は一般組合員を上回っている。

定昇相当分込みの賃上げ額は加重平均で1万7,687円

集計結果は、23日午前10時までに報告のあった回答状況をまとめたもの。それによると、平均賃金方式で回答を引き出した集計組合数は1,100組合、集計組合員数は142万7,068人だった。

平均賃金方式での定期昇給相当分込みの賃上げ額の加重平均は前年同時期比141円減の1万7,687円、率は同0.20ポイント低い5.26%となっている。規模別では、「300人未満」は、額が昨年同時期より20円低い1万4,300円で、率も同0.04ポイント減の5.05%。「300人以上」は、額が同76円マイナスの1万7,849円で、率も同0.20ポイント下回る5.27%となった。全体の賃上げ率が5%を上回るのは3年連続、「300人未満」の賃上げ率5%水準は2年連続になる。なお、「300人以上」と「300人未満」の賃上げ率を比較すると、昨年同時期の集計で0.38ポイントあった大手労組と中小労組の賃上げ率の差は、今回0.22ポイントに縮小している。

ベアなどの「賃上げ分」は3.85%で過去最高水準を更新

ベースアップや賃金改善などの「賃上げ分が明確に分かる」960組合(142万5,702人)の賃上げ分の加重平均をみると、昨年同時期を442円(0.01ポイント)上回る1万3,013円(3.85%)で、この集計を始めた2015年闘争以降で最高水準となった。規模別では、「300人未満」は同308円増(0.08ポイント減)の1万594円(3.54%)、「300人以上」が同480円増(0.01ポイント増)の1万3,107円(3.86%)となっている。

時給引き上げは前年比9.12円増の84.51円に

有期・短時間・契約等労働者の賃上げの回答状況を加重平均でみると、時給では104組合(56万4,305人)の賃上げ額が、昨年同時期より9.12円(0.39ポイント)高い84.51円(6.89%)。引き上げ率は6%を大きく超えるとともに、一般組合員の引き上げ率(平均賃金方式で5.26%)を上回った。月給は、13組合(7,499人)の賃上げ額が、昨年同時期を1,031円上回る1万3,701円(5.78%)となっている。

「中長期的な視点をもって粘り強く真摯に交渉した結​果」(芳野会長)

同日、開かれた会見で、芳野会長は集計結果を踏まえ「産業や業​種によって取り巻く情勢が異なるものの、企業の持続的成長、日本全体の生産性向上につながる人への投資の重要性について労使で認識共有を図り、中長期的な視点をもって粘り強く真摯に交渉した結​果だ」と評価。そのうえで、「これから回答を引き出していく組合も多く、これからが本当の正念場だ」と述べ、後続組合の交渉をサポートしていく姿勢を強調した。

金属は物価上昇を大きく上回り、産業・企業の魅力を高める水準

会見には、「金属」「化学・食品・製造等」「流通・サービス・金融」「インフラ・公益」「交通・運輸」の各共闘連絡会議の代表者も出席し、それぞれ回答状況についてコメントした。

金属共闘連絡会議の金子晃浩代表(自動車総連会長)は、18日の金属労協の集中回答日以後、集計対象の53組合全てで回答を引き出し、「額で1万5,418円、率にして4.2%と、物価上昇を大きく上回り、さらに産業・企業の魅力を高める水準」となったことを報告。「それ以外の多くの組合でも回答を得ており、概ね昨年同様、またはそれを超えるぐらいの水準で妥結を得ている」として、最終盤まで結果に拘る交渉を続ける決意を示した。

UAゼンセン製造産業部門やフード連合などで「300人未満」の賃上げ率が全体を上回る

化学・食品・製造等共闘連絡会議の堀谷俊志代表(JEC連合会長)は、登録産別の現時点の加重平均での妥結状況(全体および300人未満の中小組合)を報告した。300人未満の賃上げ率は、7%に迫る高水準(6.84%)のUAゼンセン製造産業部門をはじめ、フード連合、紙パ連合、セラミックス連合が、いずれも全体の賃上げ率より高い水準を記録している。そのほか、JEC連合の加盟組合の交渉で「人材確保に向けて、初任給・若年層に原資を厚く配分する会社が増えている」ことや、医薬関連について「薬粧連合に限らず、全体的に非常に厳しい状況が続いている」ことなどを説明した。

生保産業全体で人への投資が加速

流通・サービス・金融共闘連絡会議の永島智子代表(UAゼンセン会長)は、UAゼンセン全体で、正社員組合員の妥結総合計(加重平均)が「額ではUAゼンセン結成以来最高水準となって、物価上昇を1%程度上回る賃上げの定着に向けた大きな一歩となった」ことや、生保労連でも「産業全体で人への投資が加速しており、特に営業職員関係で高い妥結が続いている」状況を報告。交渉中の産別では、損保労連が同一ホールディングスに属する単組間の連携を高めて中小労組の賃上げを後押しする取り組みを展開していたり、サービス連合傘下の組合に総実労働時間の短縮に向けた公休日の増加を掲げるところが多いことなどを話した。

生活不安を抱えて社会インフラを守ることはできないとの認識で対応を強化

インフラ・公益共闘連絡会議の北野眞一代表(情報労連委員長)は、多くの組織で持続的な賃金改善の必要性の認識を合わせ、粘り強い交渉を重ねてきた結果、「総じて賃金カーブ維持相当分、査定昇給分も含めて連合方針の5%以上、昨年の妥結水準を上回っている」などの現状を説明。今後についても、「生活の不安を抱えながら社会インフラを守り続けることはできない」との認識のもとで、賃上げや働き方の改善などに向けた対応を強化していく考えを示した。

私鉄大手や鉄道旅客が昨年水準・物価上昇分を超える賃上げを獲得

交通・運輸共闘連絡会議の成田幸隆代表(運輸労連委員長)は、登録産別の共通課題に「慢性的な労働力不足への対応」をあげたうえで、人流・物流それぞれの状況を解説した。人流業界では、企業業績が順調に推移する私鉄大手が「昨年水準、またはそれを上回る回答を得ている」ほか、鉄道旅客3社も「大幅な賃上げと昨年実績や物価上昇率を上回る内容を引き出している」とした。また、航空では「大手2社ともに、航空連合の定めた(賃金要求)目安と同額の1万2,000円のベア獲得となった」という。

そして、トラック運輸部門では、妥結済みの64組合の単純平均は8,072円で、25春闘の最終結果を1,107円上回っている。その内容は、「大手7組合が平均妥結で8,565円と、昨年よりも3,000円ぐらいショート。逆に中小は妥結している43組合が平均で7,890円、これは昨年の最終妥結より1,767円プラス」などと、中小労組が健闘している様子を紹介した。今後は「引き続き、持続可能な物流システムの構築のため、人への投資の重要性を主張していきたい」と意気込みを語った。